2014.11.04

阪神・安藤優也、果たせなかった11年越しのリベンジ

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo

 プロ13年目。自身3度目の日本シリーズに臨んだ阪神・安藤優也には、チームの日本一の次に果たしたい、個人的な思いがあった。

「あの時の借りを返したい」

 安藤が言う「あの時」とは、2003年のダイエー(現・ソフトバンク)との日本シリーズ初戦のことだ。当時、安藤はプロ2年目。レギュラーシーズンでは51試合に登板し、5勝2敗5セーブ、防御率1.62の好成績で、18年ぶりのリーグ制覇に大貢献していた。

ソフトバンクとの日本シリーズで3試合に登板した安藤優也だったが、防御率6.75と結果を残せなかった

 敵地・福岡ドーム(現・ヤフオクドーム)で迎えた第1戦。4対4の同点に追いついた直後の7回裏に、安藤の出番はやってきた。8回まで1四球のみの無安打無失点。そして9回、レギュラーシーズンでは一度もなかった3イニング目のマウンドに上がる。

 四球とヒットで二死一、二塁。打席にはズレータ。2ストライクと追い込んでから2球スライダーを見逃されて平行カウントになると、続く5球目、安藤は捕手・矢野輝大(のちに燿大)のサインに首を振った。

「スライダーを2球、いい見逃し方をされて、次もスライダーのサインだったんです。でも、3球続けるなら、前よりもう少し中に入れないといけない。嫌な感じがしたので、球種とコースを変えようと思って首を振りました」

 安藤が選択したのは内角への真っすぐだった。143キロの渾身のストレートを投げ込んだが、左中間へ運ばれ、中堅手・赤星憲広の懸命のダイブも届かず。阪神は痛恨のサヨナラ負けを喫した。

「アレは今も強烈に僕の中に残っています。悔しさでいえば、13年間で3本の指に入る……いや、一番ですね。矢野さんのサインに従っていればよかったと後悔しています」

 今年の日本シリーズを前に、安藤はそう話していた。