2014.08.20

吉井理人×石井貴が語る「投手コーチのお仕事」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

吉井理人(よしい・まさと):1965年4月20日、和歌山県出身。箕島高から84年にドラフト2位で近鉄に入団。近鉄時代は主にクローザーとして活躍 し、88年に24セーブを挙げ最優秀救援投手に輝く。95年にヤクルトに移籍し、先発投手として3年連続2ケタをマーク。98年からメジャーに移籍し、 メッツなど5年間メジャーでプレイし32勝を挙げた。その後、日本球界に復帰し、07年に現役を引退。日米通算成績は121勝129敗62セーブ、防御率 4.14。08年から5年間、日本ハムの投手コーチを務めた。昨年からロッテ、ソフトバンク、オリックスの主催ゲーム全試合を完全生中継するFOX SPORTS「BASEBALL CENTER」のメインアナリストを務めている。

吉井 このタイミングが難しい。コーチと選手が同じイメージを持っていないと、アドバイスしてもまったく違うことをしてしまう。そこを一致させるのが本当に難しかったです。

石井 ピッチングは感覚の世界ですからね。特に、二軍は経験の少ない選手が多いので、その感覚を言葉で伝えることが難しいんです。たとえば、僕が得意だった球種を伝えようと試みるのですが、その感覚を口にすることができない。

吉井 投げる感覚やコツは、急に覚えられるものではありません。「こう投げればこういう球がいく」といったように、常日頃から体と頭を鍛えておかなければいけません。

石井 自分の得意なスライダーをいくら教えてもコツが伝わらなかったのに、大魔神・佐々木(主浩)さんから伝授してもらったフォークの投げ方を教えられた通りに伝えると、いとも簡単にマスターしたりするんですよね。

吉井 あるある(笑)。ホント、ちょっとした言葉の違いなんだけどね。教える側も試行錯誤を重ねるというか、どうしたら上手く感覚を言葉で伝えることができるのか考えないといけない。

石井 吉井さんも一軍と二軍の両方を経験されたからわかると思うのですが、同じ投手コーチでも仕事の内容や役割はまったく違いますよね。

吉井 全然違う。二軍の方がやることは多い。

石井 その通りです。

吉井 朝早くから球場に行って、練習、試合をこなして、その後もいろいろとやることがあって......結局、家に帰るのは夜になってしまう。そして寝たらすぐに朝に。それでも二軍の方がやりがいはあったなぁ。

石井 吉井さんの言う通りです(笑)。それに二軍では、特に選手との信頼関係がないと難しいというのを実感しました。教える側も、教えられる側も本気でやらないといけない。その分、若い選手の成長を間近で感じられる喜びはありました。