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「田中ロス」。今、楽天に何が起こっているのか? (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 この敗戦にファンからも大きなため息がもれた。

「則本でも勝てない……ショックです。あまりにもツキがない内容にあ然です。田中とともに“勝利の女神”もいなくなってしまったのでしょうか」

 試合後、インタビュールームに姿を見せた佐藤義則監督代行の表情も沈んでいた。

「11安打を放って2得点では厳しい。ホームランが出ても、タイムリーが出ない」

 楽天は序盤から何度もチャンスを作ったが、あと一本が出なかった。藤田の言う「投打のバランスがかみ合わない」の、まさに典型といえる試合だった。巨人に連敗し、借金は今季最大の13にまで膨らんだ。

 ただ、こういう厳しい状況にも関わらずチームに暗さはない。それどころか、いい緊張感もある。

「チーム全体にもう一度、あの喜び、ビールかけをやりたいという気持ちが強くあります。チームワークは相変わらずいいので、これからも下を向かずにやっていければ、何とか挽回できると思います。今はそう信じてプレイしています」(藤田)

 楽天の反撃を信じているのは選手ばかりでない。その気持ちはファンも同じ。チームは低迷しているとはいえ、球場が寂しくなることはない。ここまでの観客動員数は1試合平均20198人。まだシーズン途中ではあるが、昨年の17793人を大きく上回っている。

「何かきっかけがあれば上にいけると思います。今は主力に故障者が出ていますが、チーム状態は悪くありません。それに、僕たちはまだまだ諦めていないですし、ここから何とか盛り返していきたい」(岡島)

 はたして、「きっかけ」とは? 星野監督の復帰、ルーキー・松井の好投、それとも……。田中という大きな柱を失い、チームも苦戦を強いられている。それでも選手たちの目は、昨年と同じようにギラギラしていた。

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