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「田中ロス」。今、楽天に何が起こっているのか? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 もちろん、24連勝を達成したエース・田中と、93打点を稼ぎだしたマギーがチームを去ったことである程度の苦戦は予想されていた。それでも、メジャー通算150本塁打のケビン・ユーキリス、メジャー経験のある左腕のトラビス・ブラックリー、2年夏の甲子園で1試合22奪三振を記録したゴールデンルーキーの松井裕樹を獲得するなど、積極的に補強を行なった。

 だが......ユーキリスは左かかとを痛め、わずか21試合に出場しただけでアメリカに一時帰国。このまま退団が噂されている。先発ローテーションの一員として期待されたブラックリーも満足な投球を見せられず、二軍暮らしが続いている。そして松井も、オープン戦では「さすがドラフト1位投手」というピッチングを披露したが、公式戦では制球に苦しみ、プロ初登板から3連敗。いまだ勝ち星はついていない。

 開幕こそ3連勝と好スタートを切った楽天だったが、4月19日に記録した2連勝を最後に、以後42試合連勝はなし。逆に連敗は、3連敗が2回、4連敗が1回、5連敗が2回。この数字を見ると、昨年何度もチームの連敗を止めてくれた田中のことを思い出してしまう。リードオフマンとしてチームを引っ張る岡島豪郎は、田中の存在についてこう話してくれた。

「24連勝の記録もすごいですし、何より田中さんが投げる日は『今日は勝つ』という気持ちが特に強かった。そういう精神的な意味も含めて、田中さんの存在は大きかったですね」

 昨年、日本シリーズでMVPを獲得した美馬学は、今季も先発ローテーションの一角を担っているが、ここまで1勝6敗と苦しんでいる。その美馬に「田中がいなくなったことで、自分がやらなきゃいけないというプレッシャーがあるか」と聞くと、次のような答えが返ってきた。

「もちろん、田中の分までという気持ちはあります。でも、そこまで背負っているかといえば......そうではありません。調子はよくありませんが、その中でそれなりに抑えることはできている。大事なのは自分の仕事をしっかりすることです。そうすれば勝ちもついてくるし、こんなに悪い状態はずっと続かないと思っています」

 仙台での巨人2連戦は、昨年の日本シリーズを思い出す緊迫した好勝負となった。初戦は、美馬と菅野智之の息詰まる投手戦。互いに点が入らないまま迎えた8回表の巨人の攻撃だった。この回の先頭打者、片岡治大が放ったセンターへの飛球を聖沢諒が目測を誤り二塁打にしたことがきっかけとなり3点を失った。そして試合は1-3で敗戦。

 2戦目は先発の則本昂大が巨人打線を8回まで1安打無失点に抑える圧巻のピッチング。打線も再三のチャンスに得点できずにいたが、8回裏に途中入団のボウカーがライトスタンドへ起死回生の先制ホームラン。だが9回表、悪夢が襲う。則本がこの回だけで5安打を浴びてまさかの3失点。9回裏にアンドリュー・ジョーンズのソロ本塁打で1点差に迫ったがそこまで。痛い星を落とした。

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