楽天・則本昂大が胸に刻む「田中将大の3つの言葉」 (2ページ目)
―― しかし、昨年は15勝8敗で新人王にも輝きました。
「確かに、15勝できたことは自信になったのですが、そのうち半分ぐらいは打線に助けられたと思っています。点を取られてもすぐに取り返してくれますし、本当に頼りになる先輩ばかりで。ある意味、自分のことだけやっておけばいいという感じでした。それに、まだプロで1年しか実績を残していないので、今年が勝負の年だと思っています」
―― 則本投手が思い描く理想のエースとは、どのような投手ですか。
「まさに昨年、田中さんが見せてくれたような負けない投手です。極端な話、自分に勝ちがつかなくても、チームが勝てばそれでいい。勝つのは運も必要になってくると思うのですが、負けないのは自分の力でどうにかなるかなと思っています。点を取られなかったら負けないわけですから。そういうピッチングを目指したいです」
―― 昨年、田中投手と一緒にプレイして、学ぶことは多かったですか。
「多かったですね。負けないためにどんなピッチングをすればいいのかを見させていただきましたし、調整法についても色々と教えてもらいました。田中さんは試合の展開を読む力があって、いま何をすべきなのかをわかっている印象がありました。たとえ調子が悪くても、最低限のことをやっておけば点は取られない。とにかくいろんな引き出しを持っていて、自分はまだまだやることがいっぱいあるなと痛感させられました」
―― 則本投手にとって、田中投手はどんな存在ですか。
「投手として凄いのは当然なのですが、裏方さんへの気配りだとか、周りを思いやる気持ちとか、ひとりの人間として尊敬しています。野球以外のことで学ばされることが多かったですね」
―― 田中投手とのことで、一番印象に残っていることは?
「昨年の7月5日、ヤフードームでのソフトバンク戦で1回にKOされた試合があったのですが、その日の夜、小山(伸一郎)さん、嶋(基宏)さん、そして田中さんに誘ってもらって屋台で食事をしたんです。その時に田中さんが『打たれたからといって、今までやってきたこと自体を変える必要はない。(今まで通り練習をしていれば)何かしらの修正ポイントが見つかるから』と言ってくれたんです。あの時はショックでしたし、自信を失いそうになっていたので、本当に救われました。『これまで通りでいいんだ』と気持ちを切り替えることができました。そして、その翌日に中0日でリリーフ登板して勝利投手になったのですが、あの夜が僕にとってのターニングポイントでしたね。もしひとりで考え込んでいたら、ズルズルいったかもしれません。開幕前の時もそうでしたけど、いつもいいタイミングで田中さんは声を掛けてくれるんです」
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