オープン戦わずか1勝。でも阪神はきっと大丈夫
3月12日、大阪市内のホテルで阪神電鉄主催のタイガース激励会が開催された。本社役員をはじめ、球団フロント、首脳陣、選手、スタッフが一堂に会する毎年恒例の会。その冒頭、会場は異様な雰囲気に包まれた。
「開幕まで2週間。きょうもオープン戦を見させていただきましたが、非常に危機感を持っております。非常に不安を募らせております」
4番候補の新外国人・ゴメス。
式次第にあった坂井信也オーナーの『激励の言葉』は、こうして始まった。
「オープン戦が勝敗を度外視した、各自の調整の場であることは十分、理解しておりますが、それにしても、各チームに比べてかなり調整が遅れているのではないか。取られてはいかんところで点を取られる。取るべきところで点を取れない。去年の雰囲気を払拭し切れていないところに、非常に危機感を感じております」
3月15日現在、阪神はオープン戦11試合を消化して1勝8敗2分。うち完封負けが2試合、2点差以内で競り負けた試合が6。まさに「取られてはいけないところで点を取られ、取るべきところ点を取れない」という、昨季のリプレイを見ているような試合ばかりなのだから、オーナーが苦言を呈(てい)したくなったのも無理はない。
そもそも、シーズン終盤に大失速し、巨人から12.5ゲーム差の2位に終わった昨季から持ち越した最重要課題は、「得点力不足の解消」だった。その旗頭として期待されたのが、4番候補の新助っ人、マウロ・ゴメス(※)。しかし、夫人の出産と誕生したばかりの長女の体調不良で来日が遅れ、ようやくキャンプに合流したかと思えば、今度は右ヒザ裏に張りを訴えて別メニュー調整となった。激励会が行なわれた12日の時点で、実戦はゼロ......。
※昨季3Aで110試合に出場し、打率.249、29本塁打、73打点
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