「大卒ルーキーには負けられない」。
高卒5年目の男たちがブレイク中 (2ページ目)
今から5年前の2009年、高校球界で最も注目を集めていたのが、花巻東の菊池だった。その菊池を中心に、センバツ優勝投手の今村猛(清峰→広島/ドラフト1位)、高校通算69本塁打の筒香嘉智(横浜高→横浜/ドラフト1位)、投打に非凡な才能を見せつけた今宮健太(明豊→ソフトバンク/ドラフト1位)、そして夏の甲子園で全国制覇を達成した堂林翔太(中京大中京→広島/ドラフト2位)といった才能溢れる逸材たちがしのぎを削り合っていた。
「僕は負けるのが一番嫌いです。毎年『××世代』と言われますが、今村や堂林という同い年には負けたくない。同じ年に生まれたからには、そこで一番になりたい」
そう語る菊池は、昨年痛めた左肩のケガも癒え、オープン戦では最速148キロをマーク。先発ローテーション入りはもちろん、自身初の2ケタ勝利を狙う。
高校時代の菊池のライバル、堂林も5年目に懸ける思いは強い。入団3年目の2012年に全試合出場を果たし、打率.242ながら14本塁打をマーク。オフには背番号も「13」から「7」に変わるなど、大きな期待を背負った。しかし昨季は、打率.217、6本塁打と低迷。8月には死球により骨折し、残りのシーズンを棒に振った。その間、チームは快進撃を続け、16年ぶりにAクラス入りし、クライマックス・シリーズ(CS)に初進出。堂林にとっては悔しさだけが残るシーズンとなった。
「昨年は三振を減らそうとしすぎて、当てにいくバッティングをしてしまった。でも僕は、振ってナンボの選手。とにかく思い切り振ることを心掛けたい」
堂林は3月13日現在、オープン戦で打率.467をマークし首位打者に立っている。「打たないと試合に使ってもらえないですから。再びレギュラーを獲れるように、一からやるだけ。すべてで3年目の成績を上回りたい」と、5年目の原点回帰を誓う。
堂林と同様、オープン戦で好調を続けているのが、打率.410(4位)の今宮だ。今宮は昨季、ショートとして自己最多の143試合に出場。打率こそ.253に終わったが、パ・リーグ新記録となる62犠打を記録し、ゴールデングラブ賞を獲得するなど、不動のレギュラーへと成長を遂げた。それでも今宮に慢心はない。
「昨年、フル出場に1試合足りませんでした。理由は打てなかったからだと思っています。もっとバッティングの精度を上げていかないと。守備だけでなく、バッティングでもチームに貢献できる選手になりたい。目指すは日本一のショートです」
さらなる飛躍を誓う5年目。今宮の活躍が、ソフトバンク3年ぶり優勝のカギを握るのは間違いなさそうだ。
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