藤川、館山、和田......。「松坂世代」の逆襲が始まる (3ページ目)
松坂世代が高校からプロ入りして今年で16年目。大学を経てプロ入りした選手で12年の歳月が流れた。“勤続疲労”によって引き起こされる肘の故障は、投手として長く活躍してきた証とも言えるが、国内のプロ野球でもふたりの松坂世代が、トミー・ジョン手術からのカムバックを目指している。2002年に東海大から巨人に入団した久保裕也と日本大からヤクルトに進んだ館山昌平だ。
久保は2010年、2011年には勝利の方程式の一角として2年間で146試合に登板したが、2012年は右肘に故障を発症して6月に手術を受けた。長くて苦しいリハビリを乗り越えて、昨年6月にようやくイースタンリーグで登板できるまでに回復し、今春は2年ぶりの1軍マウンドを目指して1軍でキャンプをスタートさせた。
「野球をやれていることが楽しい」
そう語る久保は、オープン戦初登板では失点を喫したものの、その後の2試合は完璧なピッチングを披露。原辰徳監督も「光っていた。セットアッパーの候補になる。以前はクローザーをやっていたし、いろんなポジションができる。彼のコンディションが高ければありがたい」と期待を寄せる。
通算79勝を挙げ、2009年には最多勝のタイトルを獲得した館山は、昨シーズンの開幕直後の4月に右肘靭帯を断裂。2004年に続いての2度目の右肘手術となった。しかし、今キャンプでは開幕ローテーションを目指して調整を続けてきた。肘の違和感もあってオープン戦での登板は白紙に戻ったものの、「試合に向けて調整していくより、練習で感覚的に仕上げていった方がいいと思う」と、ヤクルトのエースは目線がぶれることはない。
そして新天地での復活にかけるのが、“松坂世代、最後の大物”としてプロ入りした久保康友だ。関大一高時代は春の甲子園で準優勝投手となり、松下電器を経て2005年に千葉ロッテに入団して新人王を獲得。その後、トレードで2009年から阪神の一員となり、昨年は先発から転向してクローザーとして期待されながらも、結果を残すことはできなかった。
今季はFAで先発として期待してくれたDeNAに働き場を求めた。3月9日のソフトバンクとのオープン戦では、4回を無失点、5奪三振と好投し、存在感を見せた。中畑清監督も「久保は幅のある投球を見せてくれた。安心して見られた」と評価。開幕に向けて万全の仕上がりを見せている。
最盛期で96名がプロ球界に籍を置いた“松坂世代”も、現役を続けているのは34名。若い頃から第一線で活躍し、プロ球界ではベテランと呼ばれる域に達しつつある。しかしまだ、今年で34歳を迎えるに過ぎない。ここ数年間は故障に苦しんできた歴戦の勇士たちが、今シーズンどんな活躍を見せてくれるのか、楽しみでならない。
3 / 3