スーパーエースへ。藤浪晋太郎と大谷翔平「2年目のノルマ」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 2014年1月3日、大谷翔平(日本ハム)が母校・花巻東高のグラウンドで自主トレを開始すると、翌4日には藤浪晋太郎(阪神)が練習を公開し、大阪桐蔭高で汗を流した。昨シーズン、高卒ルーキーとして注目を集めたふたりの2年目のシーズンが幕を開けた。

昨年、セ・リーグの高卒ルーキーとして46年ぶりに2ケタをマークした藤浪晋太郎。昨年、セ・リーグの高卒ルーキーとして46年ぶりに2ケタをマークした藤浪晋太郎。

 プロ野球界には"2年目のジンクス"という言葉が存在するが、その一方で、2年目の活躍により球界を代表する投手へと成長するケースも少なくない。

 例えば、西武時代の松坂大輔。高卒1年目の1999年に16勝5敗、防御率2.60という成績を残し、最多勝と新人王を獲得。そして開幕投手に抜擢された2年目、14勝7敗1セーブ、防御率3.97と成績こそ落としたものの、2年連続最多勝に輝き、エースの地位を不動のものにした。

 田中将大もまた、松坂と同じような道をたどっている。田中は1年目に11勝7敗、防御率3.82で新人王を獲得。2年目は9勝7敗1セーブ、防御率3.49で勝利数こそ前年に及ばなかったものの、当時楽天のエースだった岩隈久志(現マリナーズ)とともに強力な二枚看板を形成した。3年目以降は5年連続2ケタをマークし、昨年は開幕24連勝という、とてつもない記録を残した。

 このふたりのような活躍を期待されるのが、昨年10勝をマークした藤浪だ。評論家の与田剛氏は2年目の藤浪にこんな期待を寄せる。

「藤浪は間違いなく阪神投手陣の柱になる存在です。場合によっては、相手のエース級ピッチャーとの投げ合いが続くかもしれません。そこでどんな投球ができるのか、注目であり楽しみですね。昨年、広島とのCS(クライマックス・シリーズ)ファーストステージで前田健太と投げ合い負けた試合がありました。あの試合で藤浪は、好投しながらも一発に沈みました。本当の意味で一球の怖さを知ったと思うんですよ。この経験を今シーズンどう生かすか、個人的にすごく興味があります。大胆に攻めるところと、細心の注意を払いながら勝負するところの見極めができるようになれば、ピッチングの幅も広がるでしょうし、結果もついてくると思います」

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