日本シリーズならではの投手起用法とは?
吉井理人の「投究論」 第6回
いよいよ今日から日本シリーズが始まります。今年は連覇を狙う巨人と、初の日本一を目指す楽天というすごく楽しみなカードになりました。両チームともクライマックスシリーズ(CS)を快勝しただけに、いい戦いが期待できそうです。
今季、交流戦で巨人に2勝0敗の田中将大。シリーズでも巨人相手にどんなピッチングをするのか注目だ
ご存知の通り、日本シリーズは7試合制で行なわれ、先に4勝を挙げたチームが日本一になります。当然、シーズン中とは違った戦いをしなければなりません。私も昨年の日本シリーズは日本ハムの投手コーチとして戦わせていただきました。久しぶりに独特の緊張感を味わうことができましたが、同時に日本シリーズにおける投手起用の難しさを痛感されられました。
なかでも難しいのが継投です。特に、セ・リーグチームの本拠地で試合を行なう時は、DHがありません。そのため展開によっては、早い回に代打を送られることもあり、2番手以降の投手がものすごく重要になってきます。本当なら先発が6~7回を投げて、あとはリリーフ陣でつなぐというのが理想ですが、なかなかそういった展開になりづらい。
それにシーズン中とは違って、短期決戦では「調子が良くなるまで待つ」ということができない。少しでもボールにキレがないと思えば、早めに代えるべきです。どんどんフレッシュなピッチャーをつぎ込んでしのいでいくしかありません。
そのことに関していつも感じることがあるのですが、日本シリーズでは2~3イニングを任せられるロングリリーフの専門家を作るべきだと思っています。よくWBCなどで第2先発という言葉を耳にしますが、先発とリリーフは別物。先発ができるからといってリリーフもこなせるとは限りません。なので、その適性をしっかり見極めないといけません。ロングリリーフを任せられるピッチャーがいれば、継投がすごく楽になりますし、どんな状況になっても対応できると思います。
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