古田敦也の激走から20年。もっと三塁打が見たい!
今から20年前の1993年に行なわれたヤクルト対西武の日本シリーズ第7戦。初回にヤクルトが3点を先制すると、西武もすかさずその裏に2点を奪い反撃。だが、それ以降は両軍無得点が続き、ヤクルト1点リードのまま試合は終盤に入った。そして、この緊迫した展開を動かしたのが、8回表一死から飛び出した古田敦也の三塁打だった。
巨人と楽天の日本シリーズで劇的な三塁打を見ることができるのか。俊足の聖澤諒らに期待したい
カウント3ボール1ストライクから西武・潮崎哲也から放った打球は左中間への大飛球となった。あわやホームランかと思われたが、打球は外野フェンスのラバーに直撃。あらかじめ跳ね返りを予測していたセンターの秋山幸二だったが、ボールはフェンス手前に落ちた。そして秋山がフェンス際までボールを追う間に古田は一気に三塁を陥(おとしい)れた。このチャンスに次打者の広沢克己が高いバウンドのショートゴロを放ち、古田が生還。貴重な追加点を奪ったヤクルトが4-2で西武を下し、日本一を達成した。
この場面、もし古田が二塁で止まっていたら追加点を奪えていたかわからない。二塁打ではなく、三塁打になったからこそ、広沢の内野ゴロでホームに還ることができたのだ。ホームランほどの派手さはないが、それに勝るとも劣らない破壊力を持っている。それが三塁打だ。
日本プロ野球歴代最多となる115本の三塁打を放っている福本豊氏は、三塁打の魅力について次のように語る。
「三塁打は、セカンドからサードへ走っていく時のスリルが魅力だよね。僕らの現役の時は、球場は狭かったけど、打った瞬間に外野を抜けると思ったら最初から三塁へ行ってやろうという気持ちで走り出していた。打球を追いかける野手の背中を見ながら走るのは気持ちが良かった。ファンも三塁打にスリルを感じているんじゃないかな」
三塁打の魅力は福本氏の言葉に集約されているが、試合でこのスリルを堪能する機会は実に少ない。例えば、6月15日の中日対ロッテ戦では両チーム合わせて36安打が乱れ飛んだが三塁打はゼロ。また、今シーズン、両リーグ最多の198安打を放った長谷川勇也(ソフトバンク)も三塁打はわずか6本しかない。
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