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ヤクルトファンの祈り。「バレンティンよ、55本を超えてくれ!」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

―― 悩みの理由はそこですか!

「ヤクルトは最下位だけどバレンティンのホームランが1本でも出れば、ああ良かったって帰れるもんね。宮本(慎也)選手も引退するからできるだけ見たい、秋になっても消化試合がないのは嬉しいことだよね」

 チアガールの球場入りを待ち構えていた男性3人は、「バレンティンのホームランは、見ていて楽しい軌道なんですよ。打った瞬間に外野手が一歩も動かない。打席に入るだけでワクワクしますよ」、「不安をあげれば、内角を攻められて死球からのケガですかね」、「神宮は狭いとか関係ありません。他の選手とは飛距離が違いますから」と話しながら、どこか気もそぞろ。チアのことが?

「メインはもちろんヤクルトですよ。今はチームの成績がアレだからアレですけど」

 平山さん(37)、奥秋さん(37)、米本さん(27)は3人とも迷わずに「56本はいくと思う」と答えた。

「今年のバレンティンには穴が少ない。去年は追い込まれたら三振が多かったけど、今年は粘りもあるし、厳しいボールも打てるようになった。もうバットを振り抜いて外野に飛べば安心して見ていられる。56本はかなり早く達成すると思います。ただそれが出来なかったら難しい可能性もある。シーズン終盤に、勝負を避けられそうな巨人と、いい投手がそろう阪神との対戦がけっこう残ってるんです。バレンティンは意外と甲子園で打ってないこともひっかかる。そういう意味で今日からの神宮6連戦(中日、DeNA戦)で王手(54本)までいった方がいい」(平山さん)

「でも、この前の巨人戦では2試合で4本打ったし、歩かされる心配はないと思うけど」(米本さん)

―― 55本で止まったローズ(2001年/当時・近鉄)やカブレラ(2002年/当時・西武)の時のようなストライクを投げてこない悲劇はまた起こると思いますか?

「そういう見えない力(王さんの記録の聖域化)はもう流行らないし、そうだと信じたい。低迷しているプロ野球界で、そんなことをしたらファンがますます離れますよ」(奥秋さん)

「記録は更新されるものですからね。選手もそのために練習し研究をしている。もう栄光の巨人軍で育った世代の時代じゃない。今の時点で64本ペースなんで、記録さえ更新すれば60本に届くかも。でもね、長年ヤクルトファンをしてると脳裏によぎるんですよ。バレンティンもいずれ巨人へ行くんじゃないかと。ぺタジーニ、グライシンガー、ラミレス......巨人の外国人のレジェンドはみんなヤクルト出身でしょ」(平山さん)

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