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「9月の悪夢」は繰り返さない。CS初進出へ、広島ナインの思い (2ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro 大久保泰伸●協力 cooperation by Ohkubo Yasunobu

 そして、昨年もCS出場権は、手の届くところにあった。開幕こそ出遅れて5月末には借金11で5位と低迷したが、7月に12勝5敗3分の快進撃を見せ、8月には借金を完済して3位に浮上。8月25日の時点で4位ヤクルトに3.5ゲーム差をつけていた。だが、勝負どころの9月を迎えた途端、チームから躍動感が消えた。ヤクルトが9月、10月の勝負どころで20勝11敗としたのに対し、広島は10勝18敗1分と大きく負け越し、最終的には6.5ゲーム差をつけられて4位に終った。

「心残りがある」

 昨シーズンを振り返り、そう悔しさをにじませるのが野村祐輔だ。昨季は9勝11敗で新人王に輝いた2年目右腕が、そう語るには理由がある。昨年は9月までに9勝をあげながら、9月、10月に先発した6試合で0勝4敗。「自分がひとつでも勝っていれば、状況は変わっていた。チームの勝ちにまったく貢献できなかった」という思いが強いからだ。

 2013年シーズンの序盤戦は、不調や故障で苦しみ、思うようなピッチングができなかったが、8月に入ると3連勝をマーク。「ここから去年の借りじゃないですけど、最後までシーズンを通して、自分のピッチングをしていきたい」と、淡々とした口調から秘めた強い決意をうかがわせる。

 広島が混戦を抜け出しつつある要因に、先発4本柱が万全を期してマウンドに立っていることが挙げられる。開幕投手をつとめたバリントンこそ、一度もローテーションから外れることなく軸として回っているが、前田、野村、大竹寛は故障や持病などを抱える。そのため前半戦はローテーションを外れて二軍落ちをすることもあった。しかし後半戦は、中6日で球数も制限しながら登板することで、好調を維持している。

 8月に自身3連勝している野村も、「今年は中6日でずっと一定で来ているので、その影響はあると思う」と語る。先発陣が足りなくても、4本柱の登板間隔を一定に保っていることが、ここにきての4カード連続の勝ち越しという結果につながっている。先発陣の登板間隔について山内泰幸ピッチングコーチは、「当面は中6日を基本でいくと思います。崩すとすれば、9月に入ってから。それも後半の勝負をかけるべき時期が来てからです」と、勝負どころを見据えている。

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