「未完の大器」がついに開花?今年の菊池雄星はココが違う! (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 菊池のチェンジアップは球速130キロ台。緩いボールを投じることで、生きてくるのがストレートだ。140キロ台のストレートを、相手打者により速く感じさせることができる。

 また、そのストレート自体も、昨季より状態が良くなっている。4月13日の楽天戦では、プロ入り最速となる152キロをマーク。入団1年目、130キロ台を計測するまでにキレ味を失っていたストレートは、投球フォームを安定させたことで、現在は「真っすぐで詰まらせていますね」と、本人も手応えを感じるほどに輝きを取り戻している。

 球速と球威が戻ってきた理由を、「ストレートの質が変わったから」と、菊池は語る。

「ボールの回転が真っすぐになりました。前まではスライダー気味に変化していたけれど、真っすぐになったので空振りを取れているんです」

 持ち球が改善されたことに加え、捕手の炭谷銀仁朗は、「投球術の成長」を指摘する。

「真っすぐの球速は出ているし、チェンジアップの調子もいい。それと今年は1球、1球に、考えが見えます。簡単にストライクを取っていいところと、厳しく攻めるところを使い分けられていますね。例えば初球、カーブを真ん中に投げて、簡単にストライクを取れるようになりました。あいつの場合は、いかにストライクを先行できるか、ですから」

 高校からプロ入りして4年目。6月に22歳になる菊池には今季、是が非でも活躍しなければならない理由がある。

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