2013.04.17

従来のフォームとの決別。昨年の開幕投手、斎藤佑樹が語る「今」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

復帰に向けて二軍で調整を続けている斎藤佑樹 4月14日、ファイターズの二軍はイースタンリーグの公式戦を戦うため、山形へ遠征に出ていた。この日、ファーム施設のある千葉・鎌ヶ谷に残っていたのは、腹直筋の炎症で登録を抹消されている武田久、開幕直前、右手首を骨折して手術を受けた大嶋匠、オフに左ヒザの手術を受け、まもなく一軍復帰が見込まれている金子誠ら、11人。日曜日の鎌ヶ谷は、久しぶりにうららかな暖かさに包まれていた。

 午前10時少し前、今年の開幕投手と去年の開幕投手が、並んで走っていた。

 左ふくらはぎの筋挫傷で出場選手登録を抹消されている武田勝と、右肩の関節唇(かんせつしん)損傷でマウンドから遠ざかっている斎藤佑樹である。去年と今年の開幕投手が揃って一軍にいないのだから、ファイターズが開幕から苦しんでいるのも無理からぬところだ。

 それでも斎藤はこの日、これまでにない明るい表情でいきなりこう言った。

「今日、痛くないんです。今日、痛くなくなったんですよ(笑)」

 毎朝、目を覚ますと肩が痛いかどうかを確かめてしまう。それがこの日は痛くなかった。だからキャッチボールの距離も思い切って伸ばしてみた。ブルペンでのネットピッチングも、相手を立たせてのピッチングも、できるだけ思い切り腕を振って、強いボールを投げてみた。前へ進んでいるのかどうかがわかりにくい毎日を過ごしているだけに、斎藤にとってこの日は、ずいぶん前に進んだ気がした一日になった。

「朝、肩の痛みがなくなっている感じがしたので、キャッチボールでも強めに投げたんです。でも、痛くない。あれっ、痛くないなと思って、どんどん強く投げたんです。あんなに強度を上げたのは初めてでした」

 思えば――斎藤が初めて右肩に違和感を覚えたのは、去年の夏も終わろうかという頃だった。

「最初は、肩が疲れているから、ちょっと上がりづらいのかなと思ったんです。疲れもあって、プラス、自分の調子が悪いから肩ばっかりに力を入れて投げちゃっているんだろうなと......二軍に落ちてきて、まずは球数を投げようとネットに向かってむやみやたらに投げてました。球数を投げたらフォームも固まるだろうという 安易な考え方も、その理由のひとつだったと思います」