【WBC】侍ジャパン、決勝トーナメントに王手も見えてこない「必勝の形」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

4時間37分の激闘を制し、決勝トーナメント進出に王手をかけた侍ジャパン4時間37分の激闘を制し、決勝トーナメント進出に王手をかけた侍ジャパン WBC2次ラウンドが始まり、日本が延長10回の末に4-3で台湾に勝利し、3大会連続の決勝トーナメント進出に王手をかけた。

 1点ビハインドの日本は、9回二死から一塁走者の鳥谷敬が盗塁を決め、続く井端弘和がセンターに弾き返し土壇場で同点に追いついた。そして10回、中田翔の犠飛で勝ち越し、最後は杉内俊哉がランナーふたりを背負うも併殺打でしのぎ、辛くも1点を守り切った。4時間37分の死闘を制し、劇的な勝利を挙げた日本だったが、その一方でベンチワークに疑問と不安が残る一戦となった。

 その最たる例が、6回裏からマウンドに上がった田中将大の起用だ。試合後、田中は次のように語った。

「行くぞと言われたのは、6回表、日本の攻撃がワンアウトになった時です。結構、バタバタだったんですけど、それが中継ぎの仕事だと思って......」

 田中がマウンドに上がる前のイニングは、2番手の攝津正が投げていた。攝津は3回途中から先発・能見篤史のあとを継いで好投を続けていたが、5回に連打を許し1点を失った。もしこの回、引き続き攝津が好投を続けていたら、6回から田中の登板はあったのだろうか。前回のWBCで日本代表の投手コーチを務めた山田久志氏は、以前こう語っていた。

「WBCは球数制限もあって、いろんなことを想定しながら戦わないといけません。ひとつのタイミングの遅れが、致命傷になります」

 まさに緊急登板となったわけだが、幸い田中は冷静だった。6回、7回を三者凡退に抑え、4個の三振を奪う最高のピッチングを見せた。

「2点ビハインドだったので、何とかチームに流れを持って来られるようにと思ってマウンドに上がりました」

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