【WBC】海外組と国内組の見事な融合。台湾史上最強チームが日本を苦しめる

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • MLB Photos via Getty Images

1次ラウンド初戦の豪州戦で見事なピッチングを披露した王建民1次ラウンド初戦の豪州戦で見事なピッチングを披露した王建民 本日3月8日、侍ジャパンの2次ラウンド初戦が19時より東京ドームにて行なわれる。相手はプールBを1位で通過した台湾だ。

 台湾は過去WBC2大会で1勝も挙げられず、昨年11月の予選ラウンドからの出場を余儀なくされた。いま思えば、この予選を地元・台湾(新北市)で開催して勝ち抜いたことが、初の2次ラウンド進出の起爆剤になったのではないだろうか。相手はフィリピン、ニュージーランド、タイといった、いわば格下。それでもスタジアムが大観衆で溢れかえった。その大観衆の後押しもあり、チームは3試合中2試合が7回コールド、合計失点0という完璧な戦いを演じた。

 この予選を勝ち抜いたチームを土台に、本戦では元メジャーリーガーの王建民(ワン・チェンミン)と郭泓志(グオ・ホンジー)、日本ハムに所属する陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)らが加わった。代表という混成チームであっても、チームとしての一体感、そして「どんな戦い方をするのか」という方向性は昨年の秋から変わらず、そこに海外組が加わったことで格段の厚みを増すことに成功した。さらには、1次ラウンドを地元・台中での開催にこぎつけられた"政治力"も追い風となった。
 
 では今回の台湾とは、いかなる戦い方のチームなのか。簡潔に言えば、選手のキャラクターを存分に生かし、かつ統率の取れたチームと言うことができる。

 投手は、王建民が加わったことが何より大きい。昨季はナショナルズでわずか2試合の登板に終わったが、ヤンキース時代の06年、07年は連続して19勝を挙げた右腕だ。持ち前のシンカーは健在で、1次ラウンド初戦の豪州相手に球数制限(65球)内の61球で6回まで投げ切り、無失点。王建民の好投もあって4対1で勝利し、チームに勢いをもたらした。

 郭泓志はリリーフを務める左腕だ。ドジャース時代の10年には自己最多の56試合に登板するなど、実績は十分。こちらも昨季はマイナー数球団を渡り歩いた末に解雇され、秋には肩の手術をしたが、今年2月の練習試合では球速150キロを出すなど完全復調した。

 さらに、昨季までカブズのマイナーに所属した陳鴻文(チェン・ホンウェン)が右の抑えとなり、郭泓志とのダブルストッパーが完成した。首脳陣とすれば「先発が球数制限まで投げ切って試合を作れば、8、9回はふたりで決まり。その間の中盤の継投に細心の注意を払えばいい」という戦い方が明確になった。

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