【WBC】海外組と国内組の見事な融合。
台湾史上最強チームが日本を苦しめる (2ページ目)
今大会の台湾チームは、前述の王、郭に象徴されるように、海外組、あるいは元海外組の参加が目につく。登録メンバー28人のうち、12名が日本プロ野球やアメリカのメジャー、マイナーに所属した経歴を持つ選手たちだ。こうした他国での経験が、国際舞台でも臆することなく伸び伸びとしたプレイを可能にさせている。特に打者の思いきりの良さ、積極的な攻撃姿勢には、そんな経歴が後押ししているような気がしてならない。
1番は昨季、日本ハムで全試合出場を果たし、打率.287をマークした陽岱鋼。1次ラウンド初戦の豪州戦では、第1打席でいきなり初球をレフトに弾き返し、先制点の口火を切った。続くオランダ戦ではダメ押しとなる2点本塁打を放つなど、核弾頭として打線を引っ張る。2番には昨季9試合ながらメジャー初昇格を果たした林哲瑄(リン・ザーシュエン)。小技を駆使するというよりは攻撃的な2番だ。08年には19歳でマイナーオールスターにも出場した実績がある。
ところが3番以降は一転して国内組の彭政閔(ペン・ジェンミン)、林智勝(リン・ジーシェン)といった右のスラッガーが並ぶ。ともに広角に打ち分けることができ、ライトスタンドに放り込む技術とパワーを兼ね備えた打者だ。また、8番には飛距離ナンバーワンを誇る林泓育(リン・ホンユィ)が入り、その前後をいぶし銀の張建銘(チョウ・ジェンミン)、バットコントロール抜群の林益全(リン・イーチュエン)というふたりの左打者が固める。これらはすべて国内組の選手だ。
こうしたバランスの良さも「海外組だけに頼ったチームではない」という、まとまりを生んでいる。
投手陣も王建民ばかりに注目が集まるが、国内リーグで通算100勝を挙げている潘威倫(バン・ウェイルン)は、オランダ戦で序盤に崩れた先発を急遽リリーフし、3回から4イニングを1四球のみに封じて、のちの逆転劇の立役者となった。このリリーフの成功がなければ、オランダに敗れ2次ラウンド進出はならなかったかもしれない。球速は肩の故障もあり140キロ前後だが、ツーシームやカットボールなどを丁寧に四隅に投げ込む技術は、台湾でも屈指といえる。そんなベテランがいる一方で、18歳で代表入りを果たした曽仁和(ツェン・レンホー)もいる。好調時には150キロを超す球を投げ、メジャーも関心を寄せる高校生右腕だ。
これほどバリエーションは他国でも見られないし、もちろん台湾でも初めてのことだ。この台湾史上最強と呼ばれるチームが、果たして2次ラウンドでどのような戦いを見せるのか。もしかすると、日本の前に大きく立ちはだかるかもしれない。
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