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【WBC】
侍ジャパン、決勝トーナメントに王手も見えてこない「必勝の形」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 登板する3時間以上も前から肩を作り続けた杉内。おそらくブルペンで100球近くは投げていただろう。緊急登板を命じられた上に、急遽3イニング目も任され、失点した田中も含め、首脳陣の迷いがボディブローのように選手たちのスタミナを奪っていかないか心配である。

 さらに、こうした迷いは投手起用に限ったことではない。大会前は「調子のいい選手を使う」と言いながらも、当たりの出ない選手を使い続けたり、いまだ固定オーダーが組めないなど、試行錯誤を続けている。台湾戦でも7回の日本の攻撃の際、二死二塁で左投手がマウンドに上がると、角中勝也に代えて打撃不振からスタメンを外れていた長野久義を送った。昨シーズン、対左投手の打率が3割4分9厘(対右投手は2割9分3厘)と左投手を苦にしない角中に代打を送る必要があったのか。どうしても右の代打を送りたいのなら、打撃好調の松田宣浩もいたはずだ。そうした一貫性のなさが、ちぐはぐな攻撃の要因になっているように思えるのだ。つまり、戦い方が見えないのだ。

 宮崎での合宿で、井端はこんな話をしていた。

「代表チームというのは試合を重ねていけば、自然と一体感は生まれてきます。ただ、チームが勝つためには一体感だけでなく、勝ちパターンが必要になってくる。それができてくれば、強いチームが完成する」

 劣勢を強いられながらも、終盤の粘りで何とか勝利を手にしている日本。だが、勝ちパターンがあるかといえば、まだ確立されていないのが現状だ。今日のオランダ戦も含め、負けられない戦いは続く。そのためには、少しでも早く「勝ちパターン」を作っていかなければならない。展開を読み、適材適所で選手を起用していけば、きっと勝ちパターンはできるはずだ。そうすれば、3連覇の道も開けてくるに違いない。

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