【プロ野球】大型補強の行方。阪神、DeNA、楽天に「下克上の予感」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Thomas Anderson/AFLO

 楽天は昨シーズン、12球団最多となる17選手がチームに加わったが、このオフは人数こそ多くないがメジャーからの大物選手を獲得。それがメジャー通算434本塁打のアンドリュー・ジョーンズと通算61本塁打のマギーだ。昨年、楽天のチーム本塁打は12球団最少の52本。ジョーンズ、マギー獲得の狙いは長打力不足を解消し、得点力アップをいかに図るかだ。今年から本拠地のKスタ宮城はラッキーゾーンが設置されるなど、問題を解決する準備は整った。あとは期待通りの活躍をしてくれるかだが……。

「入団前からジョーンズは何かと話題になりましたが、とにかくシーズンでどこまでやってくれるか。今の楽天には中心を打つバッターがいないので、ジョーンズがすんなり収まってくれれば、それこそ楽しみですよ。成績もそうですが、『4番のらしさ』というのを発揮してくれるだけでも大きいと思います」(伊原氏)

 さらに評論家の与田剛氏は言う。

「楽天は斎藤隆が8年ぶりに日本に戻ってきましたが、彼の加入もすごく大きいと思います。まだ、どのポジションで起用されるかはわかりませんが、おそらくセットアッパーか、クローザーでしょう。昨年は、青山浩二がクローザーを務め、22セーブを挙げましたが、逆転を許す場面も多く、まだまだ万全とはいえない。個人的な意見ですが、斎藤隆から青山へとつなぐ形が完成すれば、かなりの確率で勝ちを手にすることができるのではないでしょうか。特に大事なのは8回。昨年日本一の巨人には山口鉄也がいて、一昨年の中日にも浅尾拓也がいた。逃げ切るというよりは、相手にとどめを刺す。今の野球の8回はそういう意味合いのイニングだと感じます。そのポジションに経験のある斎藤隆が収まってくれれば、青山の負担も軽減されるはずです」

 言葉通り、昨シーズン、楽天の投手陣が8回に許した失点は62とリーグワーストだった。9回に許した51失点(リーグ5位)と合わせて、リリーフに不安があることは数字的にも明らかだ。そこに斎藤隆が入ることで、どんな影響を及ぼすのか注目だ。

 こうした下位チームの積極的な補強で、チームの力関係は大きく変わろうとしている。果たして、今シーズンはどんな展開が待っているのか。ペナントが楽しみだ。

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