2013.01.14

【プロ野球】大型補強の行方。
阪神、DeNA、楽天に「下克上の予感」

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Thomas Anderson/AFLO

楽天入りするメジャー通算434本塁打のアンドリュー・ジョーンズ 1993年の導入以降、FA制度は徐々に日本球界に馴染んでいった。また、1995年に野茂英雄が海を渡ってからメジャー挑戦の道が開かれ、今ではメジャー挑戦を果たした選手たちの日本球界復帰の流れも定着してきた。選手たちの動きが活発になったことで、各チームの戦力は1年ごとに激しく変化し、一気に20人前後の選手が入れ替わるケースも特別ではなくなった。そしてこのオフも各チームの戦力は大きく動いた。

「下位球団が積極的に補強するのは当然の流れです。特に、今はクライマックス・シリーズ(CS)がありますから、少し戦力が整えば3位が見えてくる。つまり優勝のチャンスも出てくるわけです」

 そう話すのは、西武、オリックスで監督を務め、常に戦力の整備を念頭に置きながら戦った経験を持つ伊原春樹氏だ。

 その言葉通り、このオフ、セ・リーグでは5位の阪神と6位の横浜DeNA、パ・リーグでは4位の楽天が積極的な戦力補強を行なった。阪神は中村勝広GMのもと、メジャー帰りの福留孝介、西岡剛を獲得。金本知憲、城島健司が引退し、藤川球児がメジャー挑戦するなど、これまでチームの顔だった選手の穴を素早く埋めにかかった大型補強だった。

「福留、西岡のふたりは、それなりに活躍すると思います。福留に関しては、年齢的にも大きな上積みは期待できませんが、力はまだまだあるはず。守備面も含めると、いい補強だったと思います。ただ、福留にしても西岡にしても、億を超す契約をしているわけですから、うまく滑り出さないとチーム内外から不満が出て、チームのまとまりを欠く可能性もある。何より1年目。ここで結果を出すことが、本人にとってもチームにとっても非常に大事ですね」

 両選手の獲得については、「若手野手の成長を妨げる」とOBやファンから反対する声もあった。それでも獲得した背景には、まずは若手投手を育てたいという思いもあったのではないだろうか。昨年、パ・リーグを制した日本ハムの栗山監督は「経験の浅い投手は、勝ち星をつけることが何よりの自信になる」と語っていた。阪神も、注目のルーキー・藤浪晋太郎をはじめ、秋山拓巳、岩本輝、歳内宏明ら、経験は浅いが伸び盛りの投手が多い。そうした投手たちに勝ち星をつけて、一人前の投手を作り上げることがチーム再建の第一歩と考えたのではないか。そのためには、かつて日本球界で首位打者を獲得した福留、西岡の力が必要だった。将来の阪神にとっても、今回の補強は大きな転機になることは間違いなさそうだ。