【プロ野球】球宴ファン投票1位。いま斎藤佑樹は何を求められているのか?
オールスターファン投票1位で選出された斎藤佑樹 博多の夜。
五島サバを肴に、野球談義に花が咲く。サバは炙ってよし、胡麻で和えてよし、もちろん泳がせておいて新鮮なうちに捌くのもよし。素材のよさに包丁人の腕が冴える。
話題の中心は、斎藤佑樹だ。
プロに入って初めてナマで彼のピッチングを見たというマンガ編集者が炙ったサバを喰いながら、大声を上げる。
「甲子園での斎藤は、もっと力で相手をねじ伏せる真っすぐを投げていたじゃないか」
ああ、そうだったかな。
間髪入れず、胡麻サバを頬張って続ける。
「あんなふうに相手をかわそうとするピッチングじゃ、オーラをまったく感じない」
確かにそういうふうにも見えるかな。
ついさっきまで泳いでいたサバよりも勢いよく、泳ぎサバの刺身に山葵(わさび)をたっぷりつけて、こう吠えた。
「今日、見たのは斎藤佑樹じゃないっ」
いやいや、もちろんこの編集者が見たのは紛れもなく、斎藤佑樹である。彼の記憶の中に刻まれている斎藤がどんなピッチャーなのか、だいたい想像はつくが、その活きのよさは18歳ならではのバランスがもたらしたものだ。今の斎藤も、23歳ならではのバランスで、力のある真っすぐを投げ込み、相手をねじ伏せようとしている。もちろん、かわそうという意識も持っていない。
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