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【プロ野球】防御率No.1、吉川光夫(日本ハム)『6年目の覚醒』のワケ (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

 昨年は一軍では勝ち星に恵まれず0勝5敗。しかし、イースタンリーグでは最多勝(9勝)、最優秀防御率(1.64)、最多勝率(.750)の三冠を達成した。技術的にも成長してきたところに、同期である斎藤佑樹の活躍や、後輩・野村のプロ入りなど、内面を刺激する出来事も続いた。さらに大きかったのは、栗山英樹監督との出会いだった。中井監督は言う。

「吉川なりに苦しみながらも成長してきたところで、栗山監督に期待をかけてもらい、いい言葉ももらったのでしょう。吉川は真面目で責任感も強い。いろんな条件やタイミングが重なって、今の活躍があると思いますよ」

 中井監督も選手のハートに訴えかける熱血漢だが、栗山監督も同じく、選手の気持ちを最大限に引き上げる言葉を持っている。ただ、吉川へ向けられる言葉は、厳しいものばかりだった。

「いい投手だから厳しくいく。1年間は褒めない」(オープン戦終了時)

「今年ダメだったら(自分が)ユニホームを脱がせる」(今季初登板前)

「俺がイメージしている吉川はもっと上。まだまだです」(7回無失点と好投した4月22日のオリックス戦のあと)

 もちそん、その言葉の裏に、大きな期待と信頼が込められていることは言うまでもない。技術をひとつひとつ積み重ねながら成長中だった左腕は、心に迫ってくる新たな指揮官との出会いで一気に覚醒の時を迎えた。託された信頼は結果で――1球1球に思いを込めて、吉川は投げ続ける。

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