【プロ野球】筒香嘉智が作り出す天性の「タメ」。
3割、30本、100打点も近い! (2ページ目)
そしてスイングの軌道も、インパクトまでは小さく、フォロースルーが大きい。私も高校生に教える時に、「スイング軌道は円ではなく、楕円を描きなさい」とよく言います。つまりインサイドアウトにバットを出して、フォロースルーを大きく取るということなのですが、筒香のスイングはまさにこの形なんです。だから逆方向にも力強い打球を飛ばせるんです。
よく筒香は、同じ左バッターのスラッガーである松井秀喜と比較されることがありますが、決定的な違いはこのスイング軌道にあります。円を描く松井に対して、筒香は楕円。言い換えれば、松井は強く叩いてボールを飛ばすのに対し、筒香はうまくボールを乗せて運ぶタイプ。同じスラッガーでもスタイルはまったく違います。松井はケタ外れのパワーがあったのであれだけの成績を残しましたが、教える立場の人間としては筒香のスイングを手本にしてほしいですね。
まだ今はプロの攻めに苦労しているところはありますが、近い将来、チームだけなくプロ野球界をリードしていくバッターになるような気がしてなりません。「3割、30本、100打点」――筒香の実力からすればこの数字は軽くクリアしてほしいですね。
著者プロフィール
石山建一 (いしやま・けんいち)
1942年、静岡県生まれ。現役時代は静岡高、早稲田大、日本石油で活躍し、現役引退後は早稲田大、プリンスホテル、全日本の監督を務め、岡田彰布(現オリックス監督)、宮本慎也(ヤクルト)など、多くの名プレイヤーを育て上げた。95年には巨人に招聘され、編成本部長補佐兼二軍統括ディレクターに就任。現在は高校野球の指導や講演を中心に全国を飛び回っている。
2 / 2