【プロ野球】筒香嘉智が作り出す天性の「タメ」。3割、30本、100打点も近い!

  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

5月6日の中日戦で1試合2本塁打を放った筒香嘉智5月6日の中日戦で1試合2本塁打を放った筒香嘉智石山建一の『選手のみかた』~横浜DeNA・筒香嘉智

 チーム名も変わり、新たなスタートを切った横浜DeNAベイスターズ。その中で、将来の大砲として注目を集めているのが筒香嘉智です。今シーズンはキャンプ中にケガを負って出遅れましたが、5月3日に復帰してここまで(5月29日現在)4本塁打を放つなど、期待通りの活躍をみせています。

 私がはじめて筒香を見たのは、彼が横浜高校3年の春の関東大会の時でした。その時の印象は、高校生の中にひとりだけ社会人の選手が交じっている感じでした。体の大きさはもちろん、スイングや打球の速さが他の選手とはまったく違いました。そして彼のスイングを見た時に、間違いなくプロでもスラッガーとしてやっていけると確信しました。

 筒香は体が大きいために力任せのスイングをしているように見えますが、実際は体の使い方が抜群にうまいバッターなんです。彼のスイングの特長は、軸足(左足)に体重を乗せてから下半身始動で振り出されるため、下半身と上半身の捻転によるタイムラグができる。これを「タメ」というのですが、これができることで対応力が上がり、タイミングも合わせやすくなる。それにタイミングが合うと体重移動もスムーズにいくため飛距離も出る。まさに理想のバッティングと言えるでしょう。

 しかし、この「タメ」を作れるバッターは、プロでもそう多くはいません。引っ張り専門のバッターや、よく泳がされるバッターはこの「タメ」ができていない証拠です。しかし驚くことに筒香は、このバッティング技術を高校時代からすでに身につけていました。だから入団1年目で、ファームとはいえ26本塁打、88打点を記録し、二冠王を獲得できたのだと思います。

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プロフィール

  • 石山建一

    石山建一 (いしやま・けんいち)

    1942年、静岡県生まれ。現役時代は静岡高、早稲田大、日本石油で活躍し、現役引退後は早稲田大、プリンスホテル、全日本の監督を務め、岡田彰布(現オリックス監督)、宮本慎也(ヤクルト)など、多くの名プレイヤーを育て上げた。95年には巨人に招聘され、編成本部長補佐兼二軍統括ディレクターに就任。現在は高校野球の指導や講演を中心に全国を飛び回っている。

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