2012.05.28

【プロ野球】3戦勝ち星なし。いま斎藤佑樹に必要なものは?

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

5月25日の中日戦では初回にもらった3点のリードを守れず、6回途中5失点で降板した斎藤 ささいな一言が心に残ることがある。

 開幕して1カ月が経った頃、ファイターズの吉井理人ピッチングコーチが、斎藤佑樹にこう話しかけた。

「佑ちゃん、たいしたもんやで」

 斎藤は何を褒められたのかわからず、一瞬、きょとんとした。すると吉井が続けた。

「普通は3週間がいいとこやからな」

 3週間?

 いったい、何の話だろう。

 吉井は斎藤にその意図をこう説明した。

「ピッチャーの調子の波って、3週間のサイクルやと思うねん。どんなにいいピッチャーでも、いい調子を持続するのは3週間がいいところや。でも佑ちゃん、開幕してから3週間越えたけど、調子、落ちへんもんな。だから、たいしたもんなんや」

 へぇ、そうなんだ――吉井のこの言葉が、斎藤にはやけに嬉しく響いた。吉井の言葉には、いつも不思議な説得力がある。

 打たれても、負けがついても、斎藤が登板した試合後、吉井は斎藤の調子のよさを強調していた。函館で炎上した試合後も、吉井は斎藤について「調子はよかったと思う」と話し、広島で野村祐輔と投げ合って負けた直後も、やはり吉井は「よかったですよ、調子は高いところで維持しています」と話している。それは決して建前ではない。吉井は斎藤にそんな話をした意図を、こう説明してくれた。

「もちろん彼にも波はあるんですよ。人間ですから、体調も違えばコンディションも違う。調子の波はあります。でも佑ちゃんの場合、それが小さい。波の幅が小さいんです。それをずっと小さいままにしておければ、素晴らしいピッチャーになれるはずなんです」