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【プロ野球】「パ・リーグに行ってよかった」。
初めての交流戦で斎藤佑樹が語った本音 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Nikkan sports

 試合は早大が逃げ切って斎藤に勝ちが、野村に負けがついた。試合後、野村はこう話していた。

「悔しいですね。でも、投げ合ってるなと思ったら、すごく楽しかったです。斎藤さんは低めにボールが集まってましたし、うまくピッチングをされていたと思います」

 斎藤は野村について、同じ試合後、こう話している。

「いいピッチャーだと思います。いい投げ合いができたと思いますし、投げてて楽しかった。とにかく最少失点に抑えて、負けないことだけを意識して投げました」

 野村が「投げ合ってる」と言えば、斎藤も「投げ合い」と言う。

 互いに似た環境を歩みながら、歳がひとつ違うことがふたりから力みを取り去ってくれているのだろうか。相手を讃(たた)え、投げ合うことを楽しむという言葉が、素直に口を突いて出る。大学時代の投げ合いからも、今のふたりの姿がイメージできるあたりが興味深い。

 そして月日は流れ、ふたりはプロの世界に飛び込んだ。

 2012年5月19日、広島で"佑と祐"の投げ合いがふたたび実現したのだ。

 ファイターズの背番号18、斎藤佑樹。
 カープの背番号19、野村祐輔。

 斎藤は函館で2回を投げ切ることができず、9失点の大炎上という悪夢から一週間を経た背水のマウンド。防御率を2.58まで落としながら、この時点での4勝は武田勝、吉川光夫と並んでチームトップ。ローテーションの兼ね合いから相手チームのエースとの投げ合いが続く開幕投手として、その責任は十分に果たしてきたと言える。

 一方の野村は、好投しながらも打線の援護が得られず、痛い失点に泣いて、連敗を喫していた。防御率1.31はリーグトップながら、2勝3敗と負けが先行してのマウンド。それでも開幕からカープのローテーションをきっちり守って、すべての試合で6回を投げ切って3点以内に抑えてきたピッチングには、ルーキーらしからぬ安定感がある。

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