2012.05.01

【プロ野球】4月首位の日本ハム。
開幕投手・斎藤佑樹の波及効果

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

4月は5試合に登板し、3勝1敗、防御率1.70の好成績を残した斎藤佑樹 仙台に、夏を思わせるまばゆい陽射しが降り注いだのは、この日が今年初めてだった。仙台駅からスタジアムへ向かう道すがら、タクシーの運転手がこう呟いていた。

「今日は佑ちゃんでしょ。残念ながら、マー君はケガしちゃったからねぇ」

 ケガをしたからだけではなく、イーグルスの開幕投手を務めた田中将大は、3度目の先発で中6日から中5日にシフトしていて、この日のふたりの投げ合いは、早々にありえない状況にはなっていた。それでも田中は腰の違和感を訴えて登録抹消されており、仙台で主人公を務めるべきイーグルスのエースは戦列を離れていた。そして敵地に乗り込むファイターズは、先発に斎藤佑樹を送り出す。プロ2年目の斎藤は、開幕から5試合目となるこの日も、3連戦のカード頭を当たり前のように任されていた。

 ここまでの4試合、1回に得点を許したことは皆無。1点は許しても同じイニングに2点を許したことはない。登板したすべての試合が先発として6回を投げて 3失点以内に抑える、いわゆるQS(クオリティスタート)であり、得点圏にランナーを背負うと被打率は1割近く下がって1割台の前半。ピンチでは粘り、ランナーを何人出しても投球間の間合いが短いため、テンポも早い。得点を許しても後続を断って、試合の流れを作る。

 それが2012年の斎藤佑樹だ。

 斎藤は、この日も当たり前のように立ち上がりからゼロを並べていく。初回、チームメイトの稲葉篤紀が通算2000本安打を達成し、そのヒットがタイムリーとなってファイターズが1点を先制した。記念すべき歴史的一打がもたらしてくれた1点に、斎藤は「この1点を守りたい気持ちが強かった」と言った。しかも稲葉の先制打の後、ここで1本出れば試合の流れが一気に傾くという場面でファイターズにその1本が出ない。3回と5回、2度のワンアウト満塁を生かせず、1-0のスコアが続く。稲葉のヒットから生まれた1点が重いこの日のゲーム展開は、1点を失っても2点目を許さないという斎藤のいつものスタイルをも許さない状況を作っていた。

 その重苦しい空気が、5回、斎藤のリズムを狂わせた。先頭の8番、嶋基宏を2-2と追い込んで、アウトローにスライダーを投げる。バファローズを完封した 前回同様、低めを意識したスライダーは、時折ワンバウンドになるキレのよさを見せていた。嶋への5球目もそのワンバウンドになって、フルカウント。6球目はアウトローへ135キロのストレートを投じる。このボールはきっちり低めにコントロールされていたものの、嶋がうまくおっつけてライト前へ弾き返し、ノーアウトのランナーが出た。