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【プロ野球】セ・リーグ予告先発導入で求められる
客を呼べる投手の出現 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 当然、これまで以上に先発投手に対する相手チームの研究はシビアになる。そこで今度は、「わかっているからこその騙し合いが始まる」と山田氏は言う。

「データを逆手に取って相手バッターをどれだけ『アレッ』と思わせられるか、キャッチャーの力量がこれまで以上に問われることになるんじゃないかな。先発ピッチャーっていうのは前日から相手打線との対戦をシュミレーションしているけど、キャッチャーは毎日試合に追われながら、その日の新たな配球も考えていかないといけない。ピッチャーの良さは殺さずに、どこまで相手を惑わすことができるか。データ分析が細かくなる分、そこを逆利用できるバッテリーが勝利を手繰(たぐ)り寄せていくでしょう」

 3月8日に行なわれたセ・リーグの理事会では、予告先発導入の理由として、次の3つのことを挙げた。

(1)一層の情報提供で新たなファン獲得を目指す
(2)先発投手が試合に向けて集中した調整ができる
(3)地上波中継が減少の中、予告先発によってメディアの新たな企画立案を促す

 とはいえ、予告先発で注目を集めていくためには、「あのピッチャーが投げるから見に行きたいという投手がいないことには始まらない」と山田氏は断言する。

「去年、セ・リーグには予告先発をメリットにできるようなピッチャーはほとんどいなかった。前の日からファンが『明日はあのピッチャーが投げるんだ』ってワクワクするような大エース、ピッチャーの登場を期待したいね」

 セ・リーグ初の試みである予告先発の成否を決めるのはこれから。昨年のダルビッシュと田中のような、誰もが見たくなるエース対決を実現できるかが今後の課題になるだろう。予告先発がセ・リーグ投手陣の奮起を促すきっかけになることを切望する。

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