【プロ野球】セ・リーグ予告先発導入で求められる
客を呼べる投手の出現 (2ページ目)
楽天の田中将大ならどうか。楽天の本拠地・Kスタ宮城の収容人数2万3026人は札幌ドームに比べ約2万人少ないが、本拠地で先発した13試合の観客数を見ると、8月27日(土)のソフトバンク戦の2万1206人が最多で、平均すると1万7572人。昨年の楽天のホーム試合での1試合平均が1万6225人だから、こちらも一定の効果があったと言えるだろう。
ただ、あるパ・リーグの球団関係者からはこんな声も聞こえる。
「曜日や天候、チームの調子、相手投手との組み合わせもあるでしょうから、実際に予告先発の効果がどれほどかはわからない。それにダルビッシュや田中、斎藤らとなれば、効果はあっても、逆に注目度の低い投手が先発となった時にどうか。シーズンを通して考えると、球団に予告先発がどれだけの利益を運んでくるかはクエスチョンの部分が多い」
ちなみに、昨年のパ・リーグの最多観客動員の試合は7月20日、水曜日の夜に東京ドームで行なわれた日本ハム対楽天戦。記憶に残っているファンも多いだろうが、ペナントレース前半戦を締める一戦でダルビッシュ有と田中が投げ合い、4万4826人を集めた。日本球界を代表するふたりの対決とあれば、当然、予告先発の効果も絶大だったというわけだ。
集客とは別に、現場サイドは予告先発をどう捉えているのか。セ・リーグが今季からの導入を決めた際、両リーグで監督経験を持つオリックスの岡田彰布監督が、「落合(博満)さんがいたら、絶対反対していたはず」と、ベンチワークを駆使し白星を積んだ敵将の名を出し、さらに「セ・リーグの野球は変わるよ」とも発言した。予告先発に対しては野村克也や落合博満らと近いスタンスで、予告先発の導入は、読み合い、騙し合いという野球の持つ面白さが失われてしまう、というニュアンスを含んでいた。
一方で、「大賛成です」と言ったのは、現役時代に予告先発の経験を持ち、セ・パ両リーグでコーチ、監督を務めた野球評論家の山田久志氏だ。
「今はスポーツ新聞の先発予想も8割、いや9割近く当たるでしょう。それに今の時代の空気も隠してカムフラージュして、というのになじまない。首脳陣としては、連戦の中で先発がいない時や先発が故障して代わりに誰を......となった時は予告したくないけど、もうオープンでいいと思う。ピッチャーもとぼけたり、演技をしなくてもよくなるから、余計な神経を使わずにすむ。現役時代の野村(克也)さんや落合っていうのは、抜群に高い対応力を持ったバッターだったけど、打者としては前もって相手先発がわかる方がよかったはず。逆にそこのメリットを知っているからこそ、監督としては相手にわからせたくないと考えるのでしょう。そのあたりは野手出身と投手出身の考え方の差かもしれないけど、僕は賛成派だね」
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