【今日は何の日?】江川卓と小林繁のトレードを発表

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阪神の小津正次郎球団社長とともに会見に出席した小林繁(故人)阪神の小津正次郎球団社長とともに会見に出席した小林繁(故人)【1979年2月1日】
江川問題は電撃トレードで終結

 ドラフトで二度の指名を拒否して巨人への入団を希望した江川卓は、「ドラフトで交渉権を得た球団が指名選手と交渉できるのは、翌年のドラフトの前々日まで」という野球協約の「空白の一日」という盲点を突き、1978年11月21日に巨人と契約を結んだ。だが、セ・リーグ会長はこの契約は無効と裁定。これに反抗した巨人はドラフト会議を欠席し、巨人抜きのドラフトで江川の交渉権を得たのは阪神だった。

 だが江川との契約の正当性を主張する巨人は、日本野球機構コミッショナー・金子悦(かねこ・とし)に提訴。さらに、この契約が認められなければ新リーグを作る構想を公言した。そこで何とか事態を収束させたい金子コミッショナーは、「江川には一度、阪神と入団契約を交わしてもらい、その後すぐに巨人にトレードさせる形での解決を望む」という"強い要望"を提示した。

 そして翌79年1月31日、巨人の宮崎キャンプに向かおうとしていた小林繁は球団職員に呼び止められ、オーナー、球団社長の待つホテルに向かい、そこで江川とのトレードを告げられた。同日23時30分にトレードが正式に成立し、発表された時には日付は変わっていた。深夜の会見に臨んだ小林は、「請われて阪神に行くのだから、同情はされたくない」ときっぱり。そしてこの年、小林は22勝(巨人戦8勝)を挙げて最多勝、沢村賞を獲得するなど、男を上げた。

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