大谷翔平の打撃スタイルの変化 データアナリストが語る「スイングスピード減」の背景にある本当の理由 (3ページ目)
【今季の大谷のスタイルを象徴する本塁打例】
最近の大谷のホームランを見れば、その変化を象徴するものがいくつかある。5月に調子を取り戻して以降の本塁打を見ると、まさに"クラシックな大谷"の本塁打が頻繁に出ている。今季最も強い打球は6月20日のボルチモア・オリオールズ戦での打球速度114.6マイル(約184.4キロ)の本塁打で、右腕アンドリュー・キトリッジのシンカーをセンターへ運んだものだった。
本来なら思いきり引っ張ることもできる球だったが、それでも大谷はセンター返しを意識しているように見え、ボールを十分に引きつけて中越えに打ち込んだ。しかもその打席でもバットスピードは時速80マイル(約128.7キロ)を超えていた。MLBの『速いスイング(fast swing)』の基準が75マイル(約120.7キロ)だから、それを大きく上回っている。ボールを引きつけ、引っ張らずにセンターへ打ちながら、その速度を出せるのは本当に印象的だ。
5月27日のコロラド・ロッキーズ戦では菅野智之の速球を打球速度111.3マイル(約179.1キロ)で、これも中越えに打ち込んだ。6月10日、ピッツバーグ・パイレーツのグレゴリー・ソトとの対戦時には左対左にもかかわらず、99マイル(約159キロ)の速球を左寄りのセンターに弾き返した。そして、通算299号となった今季19号は左越え、7月7日についに飛び出した今季20号、通算300号が中越えだったことは象徴的に思えた。
ここまで見てくれば、私が「大谷は衰えているわけではない」と考えていることが理解してもらえるはずだ。バットスピードを見る時は、必ず「インターセプトポイント」も一緒に考えなければいけない。もちろん、昨年より少しスイングが遅くなっている可能性はあるし、昨年も一昨年よりは少し低かった。ただ、低下している数字は、どれも打撃アプローチの変化によって生み出されたものであるように思えるため、大きな問題と捉える必要はないと感じている。
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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