【MLB】大谷翔平が実戦的打撃練習に登板の意味 二刀流復帰へのタイミングとドジャースの投手事情 (2ページ目)
【強敵揃いの6月と二刀流復帰への慎重と必然】
大谷の二刀流は、多くの野球ファンが待ち望み、楽しみにしている。しかし今季の大谷は、1番打者としてドジャース打線をけん引し、シーズン170得点に届く可能性さえある。そうしたなかで、後半戦に投手として復帰すれば、身体への負担は避けられず、これまでのようなパフォーマンスを維持できるかどうかは不透明だ。
とはいえ、現時点でのドジャースのチーム状況を踏まえると、大谷がチームのために再びマウンドに上がるべきだとする見方にも説得力がある。打線は好調で、チームOPS(出塁率+長打率)は.817、得点数も341点と30球団中トップに立っている。
一方で、弱点となっているのは投手陣だ。チーム防御率は4.13で30球団中23位。その主因は、先発投手陣の投球回数が269回とリーグ29位と極端に少ない点にある。その結果、ブルペンへの負担が大きくなっている。
昨年のポストシーズンでは、信頼できる先発投手が3人しかいないという異例の事態に陥り、苦しい戦いを強いられた。今年も同様のリスクを抱えている以上、先発投手としての大谷が必要となる可能性は高い。とはいえ、もし投手としての復帰が1番打者・大谷のパフォーマンスに影響を与えることになれば、打線全体の生産力も下がってしまうかもしれない。
そのため、デーブ・ロバーツ監督をはじめとする首脳陣は、チームの戦いぶりを慎重に見極めながら、連覇を目指すなかで二刀流・大谷翔平をどう起用していくか、バランスを取りつつ判断していく必要がある。
6月上旬にはヤンキースとの3連戦(2勝1敗)に続き、ニューヨーク・メッツ、セントルイス・カージナルス、サンディエゴ・パドレス、サンフランシコ・ジャイアンツといった実力のあるチームとの対戦が続く。激戦のなかで、ドジャースは大谷の二刀流復帰をどのように位置づけ、戦略を練っていくのか。
チームの今後を占う重要な局面に入っている。
著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。
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