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【MLB】大谷翔平が目指す二刀流でのワールドシリーズ出場 ベーブ・ルースを超える可能性はあるか? (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【慎重に慎重を期して復帰はシーズン後半】

 チームが慎重になるのは当然のことだ。トミー・ジョン手術からの復帰は決して容易ではなく、実際、大谷自身も2020年にカムバックを試みた際には苦い経験をした。大谷は2試合に先発登板したものの、合計わずか1回2/3しか投げられず、3安打、8四球、そして防御率は37.80という悲惨な結果に終わった。その投球不振は打撃にも悪影響を及ぼし、同年の打率は.190、OPS(出塁率+超打率)は.657と、メジャー8年間で最低の成績に沈んだ。

 とはいえ、大谷翔平はこれまで何度も不可能を可能にした特別な野球選手だ。型にはまらない創造者――それこそが最大の魅力である。

 私たちメディアも、そしてファンも、大谷がシーズン終盤の激しいペナントレースのなかで、二刀流として躍動する姿を見たいと願っている。そして何より、大谷本人がその実現に向けて着実に準備を進めている。

 参考までに、1918年のベーブ・ルースはどのようにプレーしていたのか――。ルースは当時、打者として主に4番を務め、11本塁打で本塁打王に輝き、OPS.966もリーグトップの数字だった。投手としても13勝7敗、防御率2.22という見事な成績を残している。当時のポストシーズンはワールドシリーズのみだったが、ルースはシリーズで2試合に先発登板し、計17イニングを投げてわずか2失点。防御率1.06、2勝を挙げている。登板した2試合の打順はそれぞれ9番と6番で、打撃成績は5打数1安打。その1本は三塁打で、2打点を記録している。

 なお、投げない試合ではスタメンを外れ、シリーズを決めた第6戦のみ途中出場して左翼の守備に就いた。これは当時のレッドソックスの監督との間で交わされた「ポストシーズンは投手専念」という約束によるものだった。

 果たして、ドジャースは連覇を達成するために、二刀流の大谷翔平をどのように起用していくのだろうか。投げる場合は先発としてか、それともWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のときのようなリリーフ起用か?

 現時点で明確なのは、大谷を優勝争いが本格化するシーズン終盤、そしてポストシーズンの投手の切り札として位置づけているということだ。ロバーツ監督は、「ゴールは、シーズン終盤から10月にかけて全開でいられること」と語っており、5月18日に会見したアンドリュー・フリードマン編成本部長も「10月の戦いを見据えている」と説明している。

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