【MLB】大谷翔平を擁するドジャースは高年俸だから強いわけではない 倹約球団パイレーツの実況アナウンサーが語る球団格差の本質 (2ページ目)
【打者として役割を果たし二刀流復活を目指す大谷】
MLBの構造的課題を象徴するようなシリーズのなかで、ひときわ輝いていたのが、父親になったばかりの大谷翔平だった。4月29日のマーリンズ戦では、父親になって初めての本塁打となる"パパ1号"を放ち、試合後には「無事に生まれてきてくれて感謝していますし、寝不足気味でしたけど、心地よい寝不足というか、幸せな寝不足だったので、球場でも動けていたかなと思います」と笑顔を見せた。初めて子どもを抱いた瞬間については、「温かかったですね。予想より大きく生まれてきてくれて、まずは安堵というか、健康な状態で生まれてきてくれてよかったです」と振り返っている。
昨季「50-50」を達成した際は、4月終了時点で7本塁打、5盗塁だったが、今季は同じ7本塁打ながら、盗塁は9と上回るペース。特筆すべきは、メジャー全体でトップの32得点で、1番打者としてしっかり塁に出て、得点を重ねる役割を果たしている。
「50-50」といえば、昨年までのドジャースの一塁ベースコーチで、出塁した大谷とヘッドバンプを交わす姿で知られるようになったクレイトン・マッカラーは今年からマーリンズの監督に就任している。ふたりの絆は深く、大谷が父親になったと知ると「すぐにメッセージを送りました。自分も父親なので、その喜びがどれほどすばらしいか、よくわかります。子どもはあっという間に大きくなってしまうので、たくさん抱きしめてあげてとアドバイスしました」と明かした。
しかし、このシリーズで大谷に圧倒されると、さすがに指揮官としては笑ってばかりもいられない。「ショー(大谷)は本当に特別な才能の持ち主で、今やその才能を"超一流"のレベルへと引き上げている。相手チームの立場から彼のプレーを見るのは、以前のように楽しいものではない」と悔しさをにじませた。
大谷は打者として活躍を続ける一方で、4月26日にはブルペンで投球練習を行ない、二刀流復活への準備も着々と進めている。GMや投手コーチらが見守るなか、ノーワインドアップからしっかり腕を振り、直球、ツーシーム、スプリットを織り交ぜて28球を投げ込んだ。首脳陣は慎重な方針を貫いており、公式戦での登板は後半戦以降になる見通しだが、二刀流としての復帰に向けて着実に歩を進めている。9月、10月、激しい優勝争いのなかで二刀流の大谷が躍動する姿----それは多くの野球ファンが長年待ち望んできた光景だ。そして今、ドジャースのユニフォームを着ることで、メジャー8年目にしてようやくその姿が現実になろうとしている。
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