【MLB】「大谷翔平は球界のテイラー・スウィフト」 現地ベテラン記者が振り返る日本開幕シリーズ狂騒曲 (2ページ目)
【日本のファンの情熱がMLBにも選手にもポジティブな反応に】
このようにMLBの開幕戦が日本で開催され、プラチナチケットになったのはもちろん、このゲームにとってもよいことだ。ご存知のとおり、日本にもNPBというすばらしいリーグがある。それでもこの国のファンが海外のゲームにまで興味を持っていることは、ベースボールのグローバル化の証と考えていい。
近年はイギリスのロンドンや韓国のソウルでもメジャーリーグの公式戦シリーズが行なわれてきた。今回の東京での開幕シリーズの前には、オランダの代表チームが来日し、日本で試合を開催した。チェコ共和国の代表チームは昨年、プレミア12の開始前に台湾と日本でプレーした。これらの例が示すとおり、ベースボールはもう以前のように局地的なスポーツではなくなってきている。もちろんまだサッカーのようではないにせよ、よりグローバルなスポーツになったことで将来的にさらに発展するはずだ。
選手にとっては、長時間のフライトと時差があるゆえに調整が多少難しくなるのは事実だ。ただ、それらもあくまで一時的なことだ。ドジャースのキケ・ヘルナンデス、ミゲール・ロハスといった選手たちは、「確かにフライトは長いけど、それによる疲労感なんて7月頃にはもう誰も覚えてないよ」と話していた。選手たちは総じて楽しんでいたし、外国で新しいファンを得ることもできる。それは特別な経験であり、ほとんどの選手が日本での開幕戦にポジティブな印象を持ったはずだ。
ここでの評判のよさを振り返るまでもなく、MLBが近未来に再び日本で試合を開催しないわけはないと見る。もちろん次の労使協定が締結されてからだと思うが、ベースボールの国際的な成功の大切さと日本のファンの情熱はすでに理解されている。
だとすれば、ジャパンゲームはまた挙行されるのだろう。日本のファンは次の機会でもMLBを大歓迎し、ゲームをまた盛り上げてくれるに違いない。
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
大谷翔平 (おおたに・しょうへい)
1994年7月5日生まれ。岩手県水沢市(現・奥州市)出身。2012年に"二刀流"選手として話題を集め、北海道日本ハムからドラフト1位指名を受けて入団。2年目の14年にNPB史上初の2桁勝利&2桁本塁打を達成。翌年には最多勝利、最優秀防御率、最高勝率の投手三冠を獲得。
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