【MLB】大谷翔平ら日本人5選手の今季を現地記者が分析 注目した巨人・阪神の逸材は?
ドジャースの日本人トリオは三者三様、今期に期待を持たせるプレーを日本で見せた photo by Getty Images
親日のベテラン記者が語るMLB日本開幕シリーズ
何度も来日し、アメリカでは屈指の日本通として知られ、今回のMLBジャパンゲームでも現地取材を行なったMLB.comのマイケル・クレア記者。インタビュー第2回ではロサンゼルス・ドジャース、シカゴ・カブスの日本人選手たちと、巨人、阪神で印象に残った選手について話してもらった。
【今季の飛躍を感じさせた山本由伸と将来性を示した佐々木朗希】
日本でのシリーズを振り返ったとき、ファンが真っ先に思い出すのは、やはり大谷翔平のホームランかもしれない。カブス戦で放った今季1号のビデオを見て、"右中間のフェンスを辛うじて越えた理由は東京ドームの屋根に当たったからだ"と考えたファンもいたようだ。
大谷はそういったユニークな形で、また新たな話題を提供してくれた。もうこれ以上、彼に何を求めるべきだろう? 毎回、期待に応えてくれる選手であり、大事な場面でどうステップアップするかを常に心得たスーパースターだと思う。
投手のほうでは山本由伸の安定感が際立った。ゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)が右肘のケガで離脱した今季、私は山本こそがメジャーで最も完成された投手ではないかと見ている。彼は、マウンド上で必要なすべてがこなせる投手。まだシーズン序盤であるがゆえに東京では5イニングしか投げなかったが、それは問題ではない。昨季新人王を獲得したポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)と山本ではどちらが上かと尋ねられたら、私は頭を悩ますだろう。
メジャー初登板を飾った佐々木朗希は、3イニングを投げて1安打1失点5奪三振。アメリカでの1年目で、しかも莫大な注目を集めた東京ドームでの開幕シリーズでの初登板だったのだから、不安定だったのは理解できる。
私が思うに、佐々木は今季に新人王を受賞するより、将来的にサイ・ヤング賞を獲得する可能性のほうが高いように思う。将来は間違いなく明るい。おそらく誰よりも大きな天性の才能を持っており、あの右腕は神からの贈り物だ。
まだ23歳なのだから、今後もコントロールを乱し、自身が何をやっているのかわからないような登板もあるだろう。少し調子を落とし、3、4回で降板するゲームは出てくるに違いない。ただ、カブス戦で3回一死満塁のピンチを2者連続三振で脱した投球を見れば、そのポテンシャルは一目瞭然だ。今季中も、8回を投げて1安打15奪三振といったようなすごいピッチングを見せるゲームもあると思う。
現実的なチャンスがあるかどうかにかかわらず、MLBのほぼすべてのチームが佐々木の獲得を熱望していたのには、確かな理由がある。彼は現時点でもすでに優れた投手であり、これからさらに向上する。102マイル(163.2キロ)の速球、メジャー最高級のスプリット、上質なスライダーを持つ若手投手の将来性は無限大だ。
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著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう