「なおエ」の懸念もあるなか、覚醒予感の菊池雄星はエンゼルスを11年ぶりのポストシーズンに導けるか (4ページ目)
【メジャー初の開幕投手に抜擢】
菊池が好投しても、エンゼルスが勝てるのかどうかは、まだわからない。大谷が在籍していた時期に生まれたスラング『なおエ』の二の舞も考えられる。「なお、エンゼルスは敗れた」という意味だ。
けれども、菊池が6イニングを投げ、その時点でリードしていれば、「ブリッジ(橋渡し)」が必要なのは1イニングだけだ。最後の2イニングは「勝利の方程式」が成り立つ。ベン・ジョイスのフォーシームはコンスタントに100マイルを超え、ジャンセンのカッターは今も打者を抑えることができる。
3月27日の開幕戦(シカゴ・ホワイトソックス戦/アウェー)で、菊池は先発マウンドに上がる予定だ。メジャーリーグでは初、西武時代を含めると2016年〜2018年に続く4度目の開幕投手となる。
エンゼルスのポストシーズンを振り返ると、最後に進出したのは11年前。現時点では、どのチームよりも長く遠ざかっている。そのブランクに終止符を打つには、トラウトの復活に加え、菊池が名実ともにエースと呼ばれる存在になることが不可欠だろう。
著者プロフィール
宇根夏樹 (うね・なつき)
ベースボール・ライター。1968年生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
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