「なおエ」の懸念もあるなか、覚醒予感の菊池雄星はエンゼルスを11年ぶりのポストシーズンに導けるか (3ページ目)
【大谷に被弾された影響はない】
もしかすると、菊池は「大器晩成タイプ」なのかもしれない。西武時代もエースとなるまでは時間を要した。
2009年のドラフトで6球団から指名を受けながら、2010年は一軍登板がなく、実力の片鱗は見せつつも初めて規定投球回に到達したのはプロ7年目の2016年だった。ただ、完全覚醒したあとはパ・リーグ防御率が2016年2位→2017年1位→2018年2位と無双を誇った。
菊池にとって、2025年はメジャーリーグ7年目となる。少しこじつけるなら、日本プロ野球で資質を存分に発揮し始めたのもプロ7年目。果たして──。
オープン戦初登板の2月28日、菊池は先頭打者の大谷にホームランを喫し、続くふたりにもヒットを打たれた。しかし、それは不安材料にはならない。菊池はXにこう記している。
『このままでは捕手に申し訳ないので発信します。まずはじめに、一番「あり得ない」のは、四球を出すことでした。世界一の選手と、結果を気にせずに対戦出来るオープン戦において、四球ほど勿体無いものはありません。かつ、僕もエンゼルスのユニフォームを着ての最初の打者。四球スタートだけはあり得ないわけです。
シーズン中に同じ配球をするか?は全く別の話です。ただ、我々は勝負を楽しみたかっただけなのです。なぜなら目の前に立っているのは世界一の選手だから。腕を振ったストレートを、オープン戦の一打席目に完璧に仕留められた。凄いの一言です。めちゃくちゃ悔しいですが、それでいいのだと僕は思います』(原文ママ)
この書き込みは、配球についての疑問に答えているだけではない。シーズン中も勝負を楽しむことは変わらないかもしれないが、それよりも結果を求め、勝負に勝つ(ことを目指す)と宣言しているように受け取れる。
それでも、結果が気になるのであれば、この登板には続きがある。初回途中に降板した菊池は、シーズン中にはない特別ルールによって2回裏のマウンドに上がり、最初のふたりから三振を奪い、3人目の大谷を遊撃フライに討ち取った。3回裏も、3人ともアウトに仕留めた。
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