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吉田正尚は巻き返せるのか? ボストン地元紙の記者が語る前半戦総括とトレードの可能性 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

 どうしても本塁打の数が注目される傾向にありますが、私が注目しているのは、強烈なラインドライブの数を増やせるかどうかです。吉田はレフト方向に鋭い打球を打つ技術を持っています。今でもそういった打撃を見せる時はありますが、ややフライを打つことを意識しすぎて、ひっかけることが増えている印象もありますね。苦しんでいるときの吉田は一、二塁へのゴロが増えるのが特徴です。

 それよりも左中間、右中間に鋭い打球を飛ばし、速球にも反応して一塁線にライナーを放てる時が彼の"ベストの状態"、というのが私の見方です。安定してギャップ(右中間、左中間)にライナーを飛ばせるようになれば、チームは安心するでしょう。今は、そのための打撃フォームを模索しているように見えます。

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 5年9000万ドルの大型契約でレッドソックス入りした昨季、吉田は打率.289、15本塁打と1年目としては及第点の成績を残した。今季は厳しいスタートを切ったのは事実だが、6月24日以降の3試合では9打数4安打と復調の兆しを見せている。打撃技術は確かなだけに、これから数字を上げていくことは十分に想定できる。

 ただ、今季のレッドソックスは外野陣の層が厚く、今後DHも含めてのロースター整備を考えても不思議はない。さらに、昨秋に編成本部長に就任したクレイグ・ブレスロー氏が、『オフの間に吉田のトレードを模索した』とも報道された。今後、移籍話の再燃はあるのか。スピアー記者はその可能性にも話を巡らせた。

『ボストン・グローブ』のアレックス・スピアー記者 photo by Sugiura Daisuke『ボストン・グローブ』のアレックス・スピアー記者 photo by Sugiura Daisukeこの記事に関連する写真を見る

【外野陣の層が厚い中でやるべきこと】

 今季の前半戦を通じ、レッドソックスは期待以上の好成績を収めてきました。43勝38敗で折り返しを迎えるというのは大方の予想を上回ったでしょうね。

 外野陣も、ジャレン・デュラン(打率.287、20盗塁)、ウィリアー・アブレイユ(6本塁打、OPS.786)、セダンス・ラファエラ(8本塁打、10盗塁)、タイラー・オニール(16本塁打、OPS.892)、ロブ・レフスナイダー(打率.322、OPS.889)と揃っています。今後は、これらの戦力をどうフィットさせていくかに注目です。

 現状ではまだ何か抜本的な手段を考え、実行する段階ではありません。吉田がこれから復調すれば起用法もより簡単になりますが、不振が続いた場合、さまざまなことが難しくなっていくことは考えられます。特に今季の吉田は外野手ではなく、"DH限定の選手"とみなされているのであればなおさらです。プレータイムを確保するためには、成績を上げなければならないでしょう。

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