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大谷翔平が1カ月強でドジャースに溶け込めた背景を現地取材 ブレーブスとの3連戦の舞台裏 (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【名実ともに大谷のチームに】

 そのうえでロバーツ監督はどういう存在か? と問われると、大谷は真剣な表情で答えた。

「基本的には選手に寄り添うタイプの監督かなと思いますけど。よくないプレーに対して、しっかり、改善点もそうですけど、どの選手にもアプローチを含めて話し合える関係性がある。メリハリのある監督かなと思います」

 4月中旬、大谷は得点圏で気負い、ゾーンを広げ、打つのが難しい球にも手を出し、凡打を重ねていた。ロバーツ監督はスーパースターである大谷にも遠慮せず、話し合う機会を持った。5月のブレーブス戦、大谷は本塁打をかっ飛ばすだけでなく、得点圏に走者を置き2度の適時打と、質の高い打席が増えてきている。

 加えて、大谷はロバーツ監督率いるドジャースがなぜ毎年好成績を残せているのか、その理由をチーム内にいて体感した。こう明かす。

「連敗はしていましたけど(4月12日から21日の本拠地3シリーズは3勝6敗)、何かあればチームで選手だけでミーティングをしたり、出ている選手、出ていない選手に関係なく、全員で意見を出し合ってやる雰囲気は、僕は1年目ですけどすばらしいなと思います。みんなプロ意識を持って、一人ひとりが試合だけでなく、練習もそうですし、毎日やるべきことをやっている。そういう選手が多いなというのは思います」

 大谷はクラブハウスでもダグアウトでも、英語でコーチやチームメートと頻繁に話している。記者会見で流暢にとはいかないかもしれないが、メジャー7年目で日常会話や野球のことなら困らないし、普通にやりとりできる。よく笑顔も見る。

 ロバーツ監督は、こう目を細める。

「ドジャースでの居心地が、どんどんよくなっているのだと思う。そして勝つ野球ができていることにエキサイトしている。彼は我々の世代で最高の野球選手のひとりになれる可能性を持っているが、それ以上に、チームとして栄冠を勝ち取りたい。ドジャースやファンの期待を背負いながら、それがプレーに反映されている。これまで以上に野球をしていて楽しいのではないか」

 筆者は夜7時が試合開始の場合、午後2時ごろには球場に入る。その時間帯はファンの球場ツアーの時間帯で、背番号17番のファンを本当にたくさん見かける。

 開幕から1カ月ちょっとだが、ドジャースは名実ともに大谷翔平のチームになってきたと感じるのである。

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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