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大谷翔平が1カ月強でドジャースに溶け込めた背景を現地取材 ブレーブスとの3連戦の舞台裏 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【ロバーツ監督の机の上のポルシェの真相】

ポルシェを手に会見に乱入? したロバーツ監督(左はワトソンさん) photo by Kyodo Newsポルシェを手に会見に乱入? したロバーツ監督(左はワトソンさん) photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る

 フィールドの上だけではない。ドジャースのチームメートはもとよりスタッフ、取材者たちとの絆も日に日に深まってきている。4日、ダグアウトで行なわれた試合前の会見、ロバーツ監督は質疑応答に応じたあと、「実はね......」と子供のような笑顔で大谷にポルシェをもらったと明かした。

「昨日、翔平が照れくさそうに監督室に入ってきてね、ニコッと笑って車をくれた。私の机の上に置いてあるよ」

 伏線は4月24日。大谷がドジャースの日本生まれの選手の本塁打数記録で、ロバーツ監督の記録(7本)にあと一本と迫っていた時のこと。遠征中のワシントンDCの球場で、担当記者に「記録を抜かれたら(大谷に背番号17を譲ったジョー・ケリー投手の奥さんのように)ポルシェでももらうのか」と冗談で聞かれ、監督は「いいアイデアだね、私には新しい車が必要だ」とジョークで答えていたのだ。

 それが大谷本人に伝わったのは、ドジャースの地元局『スポーツネットLA』の女性レポーター、キルステン・ワトソンさんがいたから。5日の試合前、ワトソンさんがにこやかに経緯を明かしてくれた。

「ロバーツ監督がワシントンDCで、『車が〜』と冗談で言ったけど、あのあとにクラブハウスに行ったら翔平とウィル(・アイントン)通訳がいたから、『前もって知らせるけど、監督は車が欲しいと言っていた、準備しておいたほうがいいよ』と伝えたの。彼らは『新しい車? なぜ?』と返してきたんだけど、正直言って、私も誰かの記録を抜いて、その人に贈り物をあげるなんて、意味がよくわからないと思った。ただ、この話を楽しくするには、おもちゃの車をあげたらどう? って提案したの。結果的にすごくいいアイデアになった」

 とはいえ大谷が本当に実行するとは、ワトソンさんも考えていなかった。3日に大谷がポルシェのミニカーを贈呈。ワトソンさんはロバーツ監督に「私が余計なことを言っちゃったみたい。本物の車じゃなくてごめんね」とユーモラスに謝っている。

 大谷はその翌日、「本人に喜んでもらえてよかったです」と説明。「そういう冗談が好きですか?」と聞かれると「そうですね、笑ってもらうのが好きなので。また何かあればやりたいと思います」と気さくな面を見せた。

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