山本由伸とよく似たメジャーリーガーは? 監督や選手が挙げたふたりのサイ・ヤング賞投手 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

【"ザ・フリーク(怪物)"との共通点】

 そんな背番号18とよく似たメジャーリーガーがいるとしたら......それは誰なのか。

 冒頭のロバーツ監督のコメントに出てきたグレインキーは、確かに面白い比較対象と言えよう。メジャーを代表する右腕のひとりであるグレインキーは、昨季まで20シーズンをメジャーで過ごし、通算225勝、オールスター選出6回、サイ・ヤング賞受賞1回。速球の速度や勢いは山本に劣るものの、7色の変化球とコントロールのよさを兼備している点では共通点がある。

 個人的には、初めて山本をフィールドで見た際、ニューヨーク・ヤンキースのマーカス・ストローマンに似ていると思った。身長は170cmだが、ストローマンは最速96マイルの速球を武器に"ケレン味のない"投球を得意とする。ただ、近年はツーシームを軸にゴロを打たせるピッチングが持ち味になった感があり、カーブやスプリットも駆使する本格派の山本と今のストローマンは、サイズ以外はそれほど似ているとは言えないのかもしれない

 そのほかの山本の比較対象として、ドジャースの右腕ウォーカー・ビューラーは少し懐かしい名前を挙げた。

「これまでにも小柄な投手はいて、真っ先に浮かぶのはティム・リンスカムだ。リンスカムと同じように、ボールが山本の手から勢いよく飛び出してくる」

 リンスカムという珍しいラストネームを聞き、その全盛期に想いを馳せたファンも少なくないだろう。"ザ・フリーク(怪物)"と呼ばれ、センセーショナルな存在になったリンスカムは2008、09年に2年連続でサイ・ヤング賞を受賞。2008~10年は3年連続で最多奪三振のタイトルを獲得している。

 公称180cmよりも実際の身長はかなり低く、童顔も印象的だった。一見頼りなさげな細身の右腕が、並いるメジャーの強打者たちを撫で斬りにする姿は爽快感があった。

「同じ体型というわけではないし投げ方も違うが、背丈は私が一緒にプレーしたリンスカムに似ている。ティミーはすばらしいキャリアを過ごした。彼の身体の使い方はすべてが調和しており、制球のよさが印象的だった」

 ロバーツ監督もそのように山本とリンスカムの共通点を指摘し、『MLB.com』のデビッド・アドラー記者も「適切な比較だ」と話した。

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