MLB開幕戦の韓国に大谷翔平ファンクラブが存在 大谷愛を綴る書籍まで出版した会長を直撃 (3ページ目)
【関心が愛情へ変わる】
その後、韓国で大谷翔平について調べていくうちに「二刀流」であることを知った。
「サーカスみたいなもんだろ、と思っていましたよ。本気でやっているとは考えもしなかった。『ピッチャーにしてはよく打つ』程度だろうと。韓国にもアマチュア時代には投打ともに優れていた、という選手はたくさんいますから」
しかし、2018年のメジャーデビューイヤーでは主に打者としても活躍。打率.285、22本塁打、61打点、10盗塁の成績で新人王を獲得した(投手としては10試合に先発登板、4勝2敗で防御率3.31)。これで「童顔なのにすごい球」という大谷に対する関心が「ファンとしての愛情」に完全に変わった。
ただし、まだまだ「韓国でファンクラブを作ろう」という行動には至らない。翌2019年シーズンからはなんと「好きだからこそ大谷をネット上で批判する」方向に向かう。
「二刀流への反対意見ですよ。人間の肉体が耐えられるものではないと思ったのです。ヒジの最初の手術をして2019年は投手を休んだでしょう? 個人的には投手としての姿が印象的だったので、投手に専念すべきだと考えていました。彼はすばらしい才能を持っていて、メジャーリーグでも先発陣の一番手になれる力がある。なのに打者を兼ねていることによって、2019年は投手を休むことになった。当時も『大谷の熱烈ファン』として韓国メディアのインタビューを受けましたが、強く意見した記憶があります」
強い愛情、そして愛情があるからこその批判。ライブ・録画を含め全試合観戦する。そうやって「推し活」の日々を送っていくことになる。
著者プロフィール
吉崎エイジーニョ (よしざき・えいじーにょ)
ライター。大阪外国語大学(現阪大外国語学部)朝鮮語科卒。サッカー専門誌で13年間韓国サッカーニュースコラムを連載。その他、韓国語にて韓国媒体での連載歴も。2005年には雑誌連載の体当たり取材によりドイツ10部リーグに1シーズン在籍。13試合出場1ゴールを記録した。著書に当時の経験を「儒教・仏教文化圏とキリスト教文化圏のサッカー観の違い」という切り口で記した「メッシと滅私」(集英社新書)など。北九州市出身。本名は吉崎英治。
【写真】大谷翔平フォトギャラリー SHOW TIME!
3 / 3