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今永昇太のカブスでの活躍に期待できるわけ 左のスプリッターはMLB打者にとって未知の球種 不安材料を挙げるなら... (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【今永の武器は千賀のお化けフォークに匹敵する】

 昨オフ、福岡ソフトバンク・ホークスからFAになった千賀滉大は、ニューヨーク・メッツと5年7500万ドル(約102億円・当時)の契約を交わした。こちらは、年平均1500万ドル(約21億円)だ。今永の年平均額は、オプションを破棄されると千賀を少し下回るものの、行使されれば千賀を少し上回る。

 メジャーリーグ1年目のシーズン年齢(6月30日時点)は、2023年の千賀も2024年の今永も30歳だ。一方、その直前の3シーズンに記録した防御率を比べると、2020年〜2022年の千賀が2.19であるのに対し、2021年〜2023年の今永は2.69なので、0.5点の差がある。同様に、奪三振率も10.17と9.09。千賀が1.00以上高い。

 けれども、イニングは今永のほうが多く、与四球率も低い。千賀が349.2イニングと与四球率3.42、今永は411.2イニングと与四球率1.73だ。

 しかも2023年に限ると、今永の奪三振率10.58は、セ・リーグとパ・リーグで規定投球回に達した計21人だけでなく、100イニング以上を投げた計50人のなかでも最も高かった。ちなみに、山本の奪三振率は9.27、今永とチームメイトだったトレバー・バウアーは8.95。2022年の千賀は9.75だった。

 千賀のお化けフォークは、メジャーリーグでも「ゴーストフォーク」として絶大な威力を発揮した。スタットキャストによると空振り率は60%近く、被打率は.110にすぎなかった。今永のスプリッター(スタットキャストはチェンジアップではなくスプリッターとしている)も、そうなり得る。

 スプリッターを持ち球とする左の先発投手は、極めて少ない。こちらもスタットキャストのデータを見ると、2023年にスプリッターを50球以上投げた先発左腕は、8月下旬にメジャーデビューしたドルー・ロム(セントルイス・カージナルス/24歳)しかいない。ロムも全投球に占めるスプリッターの割合は高くなかった。671球中53球、7.9%だ。

 メジャーリーグにおいて今永のスプリッターは、ほとんどの打者には未知の球種となる。加えて今永のフォーシームはスピン量が多く、伸びがある。

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