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藤浪晋太郎が「一番いい形」と望む、オリオールズの世界一と阪神の日本一 抑えの選手が離脱中でプレーオフでは重要な存在に (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【古巣・阪神のリーグ優勝は「シンプルにうれしい」】

 運命的な巡り合わせもあって、今季は日本人選手の中でポストシーズン進出一番乗り。大乱調のスタートを切ったはずが、メジャー6年目の大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)も経験していないプレーオフでも活躍が期待されるようになったのだから、人生はわからないものである。

 時を同じくして、日本では藤浪の古巣・阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を決めた。自身が味わえなかったビールかけを楽しんだ元チームメイトたちのことを問われると、藤浪は微かに表情を崩した。

「(阪神優勝には)刺激を受けているというよりも、単純にうれしいなと思います。刺激とはちょっと違って、ファン目線というか......。ビールかけをしているのを見て、その場に自分がいれなかった寂しさはちょっとありますけど、本当にシンプルにうれしいという思いが一番大きいですかね」

 元同僚たちが日本一に向かってまい進するのと同時に、自身も世界一に向かって突っ走ることが"恩返し"になる。実際に、藤浪とオリオールズの秋はまだ始まったばかりなのかもしれない。

 プレーオフ進出に向けたマジックが1となった前日の時点では、広報部から「行なわれない方向」と伝えられていたシャンパンファイト。それが当日にあっさりと変更され、ダイナミックな大宴会が実に約1時間にわたって継続したことも、"優勝慣れしていないチームらしさ"を感じられた。

 ただ、慣れていく時間は十分に残っている。現在、ア・リーグ最高勝率で突っ走るオリオールズはプレーオフでも注目チームになりそう。そして上記通り、オールスターにも出場した抑えのバティスタが右肘靭帯損傷で離脱中(8月26日に故障者リスト入り)なため、藤浪はブルペンでも重要な存在になりそうだ。

「私はフジを左打者相手にも快適に送り出せる。彼は左右両方の打者をアウトにできるが、それは特に終盤のイニングでは重要なことだ。フェリックス(バティスタ)は左右両方をアウトにできる稀有(けう)な投手だったから、彼には価値があった。フジもその能力を持っている」

 そんなブランドン・ハイド監督の言葉を信じるなら、プレーオフ中も接戦の終盤イニング、ヒリヒリするような場面で藤浪がマウンドに立つ可能性は十分あるだろう。そこで今季中盤以降のような支配的な投球ができれば......。

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