藤浪晋太郎が在籍したアスレチックス本拠地は「昭和のパ・リーグ」ラスベガス移転で生まれ変わるか (4ページ目)
移転が明るみになったあと、ファンは抗議の意を示すために球場に押しかけることを呼びかけたが、それでも1万人を集めるのがやっとだった。身売りや移転が決まってからファンが騒ぎ立てるのは、「昭和パ・リーグ」でも見られた光景だ。オーナー側からすれば、ビジネスにならない場所からは去るのみということなのだろう。
この夜の試合も、アスレチックスが先制したものの、絵に書いたような逆転負け。ファンも慣れっこになっているのだろう。淡々とした表情で帰路についていた。
オークランド・コロシアムはアメリカでは珍しい地下鉄でアクセスできる球場だ。サンフランシスコのダウンタウンまで20分という交通至便なこの地下鉄だが、試合後とは思えないほど空いていたのも「昭和パ・リーグ」だった。
一時、消滅の危機に瀕したパ・リーグだが、今は隆盛を極めている。MLBで後発のアメリカン・リーグがナショナル・リーグの観客数を追い抜いたように、近い将来、セ・リーグを人気面でも凌駕する日が来るかもしれない。その隆盛の裏には、幾多の身売り、移転の歴史があった。
アスレチックスも移転という劇薬によって生まれ変わるべきなのかもしれない。
著者プロフィール
阿佐 智 (あさ・さとし)
これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。
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