藤浪晋太郎が在籍したアスレチックス本拠地は「昭和のパ・リーグ」ラスベガス移転で生まれ変わるか

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Getty Images

【2年後のラスベガス移転が現実的に】

 そもそもオークランドの人々にとって、日本人選手どころではないのだ。おそらく2年後にはこの街からチームがなくなるのだから。

 新球場建設のメドが立たないなか、アスレチックスは3A球団のあるラスベガスへの移転を決めた。ラスベガス・アビエイターズは、マイナーでもトップランクの人気を誇るチームだ。昨年も1試合平均約7000人を集めている。メジャー球団がマイナー球団に観客動員で負けるという屈辱の歴史をつくる前に移転したほうがいいと考えたのかもしれない。

 すでに新球場建設のための土地を買いつけ、オークランド・コロシアムとの契約が切れる来年限りで去り、しばらくはこのマイナーチームの球場を使用するという。もちろんファンは黙ってはいない。外野席の応援団はドラムを鳴らし、旗を振って応援。そして外野フェンスに多くの垂れ幕をぶら下げている。

 そのなかに、「KAVAL OUT」、「FISHER OUT」の文字があった。聞けばふたりの共同オーナーの名だという。しかし、彼らの声がオーナーたちに届くことはなさそうだ。いかんせん数が少なすぎる。閑散としたスタンドに虚しく響く太鼓の音は、40年前の「昭和パ・リーグ」を彷彿とさせた。1970年代から1980年代のパ・リーグの球場には閑古鳥が鳴き、そして各球団は身売りや移転を繰り返した。

 この夜の観客は約4000人。2A並みと言っていい。昭和パ・リーグではけっこうな入りだったかもしれないが、器が大きい分、余計に寂しさが募る。スタンド最下層内部にはラウンジ席が設けられているが、閑古鳥が鳴くなか、野球に興味のない来場者がゲームを楽しんでいる。

 アメリカの野球ファンにとって、オーナーの交代は大きな出来事ではない。しかしフランチャイズの変更は、チームが消滅するに等しいおおごとである。カリフォルニア州のオークランドからネバダ州のラスベガスはあまりに遠い。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る