大谷翔平の争奪戦はもう始まっている。相場はMLB最高額の5億ドル超え。有力球団は5チームか (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【大谷をトレードで放出も?】

 大谷の望みを叶えるのに、エンゼルスは十分なメンバーが揃った......とは言いがたい。

 先月、球団を売らないことにしたオーナーのアルトゥーロ・モレノがここから大型契約にGOサインを出しても、時すでに遅し。FA市場に大物は残っていない。トレードによる補強も、ままならない。エンゼルスには、相手の球団が交換にほしがるプロスペクト(若手有望株)が乏しいからだ。

 この状況において、大谷が延長契約に応じることはないだろう。残留した場合、マイク・トラウトと同じ轍(てつ)を踏むことになりかねない。

 2019年の開幕前に、トラウトはエンゼルスと12年4億2650万ドル(約471億円・当時)の延長契約を交わした。しかし、トラウトのポストシーズン出場は2014年の3試合しかない。今年、エンゼルスが勝ち進んだとしても、来年以降の展望は不透明だ。再び球団売却の話が持ち上がっても不思議はない。

 もし夏の時点でポストシーズン進出が絶望となれば、エンゼルスは大谷をトレードで放出するのではないだろうか。

 FAになった大谷にクオリファイング・オファー(※)を申し出てドラフト指名権を得る方法もあるが、指名した選手が台頭する頃、トラウトは全盛期を過ぎている。それよりも大谷と交換に、すでにメジャーデビューしているか、デビュー直前の選手を獲得するほうが理に適う。

※クオリファイング・オファー=手放したくない選手に対して球団が規定額(MLBの年俸上位125名の平均額)の1年契約のオファーを出すことができる制度。

 シーズン途中に移籍しても、大谷はFAになるはずだ。獲得球団が延長契約を望んでも、大谷と代理人からすると急ぐ必要はない。FA市場に出てからも再契約はできるからだ。

 来オフに大谷を手に入れようとする、あるいは入手が有力な球団については、いくつもの報道が出ている。それらにほぼ共通するのは、ニューヨーク・メッツ、ロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツの4球団だ。また、ニューヨーク・ヤンキースを含めている記事も少なくない。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る