大谷翔平の争奪戦はもう始まっている。相場はMLB最高額の5億ドル超え。有力球団は5チームか (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【金銭面の最有力はメッツ】

 投打の両面で柱となる大谷は、どの球団もほしい(2022年成績は15勝9敗・防御率2.33、打率.273・34本塁打・95打点。以下同)。人気がもたらす収益も魅力だろう。

 とはいえ、資金が潤沢ではない球団には、高嶺の花だ。予測されている10年5億ドル(約656億円)はトラウトの総額を上回りMLB史上最高となるが、荒唐無稽な契約ではない。

 ヤンキースの投打の柱、ゲリット・コール(13勝8敗・防御率3.50)とアーロン・ジャッジ(打率.311・62本塁打・131打点)の契約は9年3億2400万ドル(353億円・当時)と9年3億6000万ドル(約493億円・当時)だ。それらを合算し、大谷がDHである点などを差し引き、その4分の3としても、5億ドルを超える。

 また、米メディア『ジ・アスレティック』のケン・ローゼンタールによると、パドレスのホアン・ソト(打率.242・27本塁打・62打点)は昨夏のトレード前にワシントン・ナショナルズから提示された15年4億4000万ドル(約577億円)の延長契約を断ったという。しかもソトは、マウンドには上がらない。

 金銭面からすると、最有力はメッツだ。今オフの動きからわかるように、オーナーのスティーブ・コーエンの資金は無尽蔵に思える。贅沢税を気にする様子もない。先発投手5人のうち、2025年以降も契約が続くのは千賀だけなので、必要性もある。

 DHの枠は、メッツに限らず、どの球団も空けることができる。それまでのDHを一塁や外野へ移せばいい。また、メッツのGMはビリー・エップラーだ。大谷のメジャー挑戦に際し、エプラーは当時エンゼルスGMとして交渉を行ない、契約をまとめた。

 メッツのマイナス要素としては、東海岸に本拠を構えることが挙げられる。2017年のオフに大谷が交渉に臨んだのは、シカゴ・カブスを除くと、いずれも西地区の6球団だった。

 メッツもヤンキースも、書類選考の段階で外されている。しかも、大谷が球団を選ぶ条件のなかで、金銭を一番の決め手とするとも考えにくい。一方、ドジャース、パドレス、ジャイアンツは、前回の書類選考後の7球団に残っていた。

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